100 / 856
第100話◇
【side*優月】
朝、学校に着いて、玲央と別れる時。
――――……まだ一緒に居たくて。離れたくないなと思ってしまった。
バカみたいだな、夜からずっと、一緒に居てくれたのに。
そう思ったから、別れを告げて、振り返らずにダッシュで玲央から離れた。
教室に着くと、仲の良い友達たちが手を振ってくる。
「優月ーおはよー」
近くに座った瞬間。
「……なんか、雰囲気違うな、優月」
「あ、オレも思った」
2人に言われて、更に周りの皆もそういえばと、同意の顔。
「……ん?そう?」
皆の顔を見てると、皆も、何が違うんだろと、オレを眺めてくる。
「……服かなあ?」
「んー。確かに、服、ちょっと違うよな」
「え。……似合わない?」
「ううん、良い感じ」
「似合うよ」
「髪もちょっといじった?」
「あー……うん」
「どっちも良い感じだな」
皆もそう言ってくれる。
玲央が選んでくれた服。
玲央の好みじゃないと思う。派手じゃないし、目立つ感じでもないし。オレに似合いそうなのを選んでくれたんだと、思う。
シンプルだけど、着心地良くて。それだけでも幸せなんだけど。
髪型も。玲央がドライヤーを掛けてくれて、そのまま、「ちょっとだけいじっていい?」と聞いてから、セットしてくれた。
それが似合うって言われて、めちゃくちゃ嬉しくて。
「ありがと。嬉しいな」
微笑んでしまうと。
なんだか皆が急に、ニヤつきだした。
「……ん?なに?」
「優月、彼女出来た?」
「え……なんで?」
「なんか幸せそうな顔してさ」
「え。そう……?? でも別に彼女じゃないよ?」
……好きな人は。
……できたけど。
そういうのって、バレるのかな?
……え、オレ、幸せそうって、どんな顔してんの??
関係がセフレとか言ったら、皆に反対されそうなので、言わないけど。
授業が始まって、皆、前を向く。
オレも、授業に向かうけれど。
……なんか。
…………浮かれすぎないようにしないと。
気を引き締めようと思うのだけれど。
………無理かも。
……なんかオレ。
……毎日毎日、どんどん、玲央の事、好きになってくんだけど。
……………どうしよう。
昨日の夜、覚えてない位、やばい位、気持ちよくさせられて。
させられてばかりで、いいのかって、ほんとに思ってしまうんだけど。
玲央は、朝目が合ったら、ほっとしたみたいな顔して、謝ってきた。
ほっとしてるのって、なんだろうって、頭、掠めたけど――――……オレが怒ってると思ったのかなあと、後からふと思った。
そもそも実際、普通の行為っていうのがよく分かんないし、男同士だから、余計に分からないけど――――……玲央は、ただひたすら優しいし、自分のこと後回しで、触れてくれてる……気がするし。オレが怒る訳ないんだけどな。
ずっとずっと、あんなに、誰にでも、優しいのかなあ。
オレだけに優しいとかそんなうぬぼれてる訳じゃないんだけど。
会う人皆に、あんなに優しすぎると――――……。
皆が、玲央に本気になっちゃうと思うんだけど。
それで本気になったら終わりとか言ってたら、
……全員すぐ、終わっちゃうんじゃないのかな。
あ、でも、すぐ新しい人が出来そう。
……そうやって、入れ替わってるのかな???
……って、オレは一体何を考えてるんだろ。
うーん、と眉が寄ってしまう。
オレ、金曜日に玲央に会ってから。
……授業、ほんとにヤバいな……。
玲央の事考えてないで、ちゃんとしよ……。
そう思うんだけど、はっと気づくと、浮かんでる玲央の顔。
……だめだなー……。これ……。
――――……こんなに、誰かの事が、
ずっと頭にあるとか。
生まれて初めてすぎて、どうしたらいいのか、分からない。
オレ、今までも、好きな子は居た、と思ってたんだけど。
――――……なんでこんなに、全然違うんだろう。
玲央を思うこの気持ちが、好きってものなら、
今までのは、何だったんだろ……。
ていうか。
……玲央て……。
男、なのにな。
性別のことも――――……すっとばして、
女の子、好きだったはずの時より、
好きすぎて、頭から離れないって、自分でも、不思議すぎる。
――――……でもなんか。
……玲央のこと 思い出すと。
鼓動が、少し、早くなる。
心臓を、ぎゅ、と掴まれたみたいな感覚。
ときめくって、こんな感じなのかな、と、
身をもって、知る感じ。
◇ ◇ ◇ ◇
100ページ、です(^^)/
いつもありがとうございます♡ by悠里
ともだちにシェアしよう!