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第100話◇

【side*優月】  朝、学校に着いて、玲央と別れる時。  ――――……まだ一緒に居たくて。離れたくないなと思ってしまった。  バカみたいだな、夜からずっと、一緒に居てくれたのに。  そう思ったから、別れを告げて、振り返らずにダッシュで玲央から離れた。  教室に着くと、仲の良い友達たちが手を振ってくる。 「優月ーおはよー」  近くに座った瞬間。 「……なんか、雰囲気違うな、優月」 「あ、オレも思った」  2人に言われて、更に周りの皆もそういえばと、同意の顔。 「……ん?そう?」  皆の顔を見てると、皆も、何が違うんだろと、オレを眺めてくる。 「……服かなあ?」 「んー。確かに、服、ちょっと違うよな」 「え。……似合わない?」 「ううん、良い感じ」 「似合うよ」 「髪もちょっといじった?」 「あー……うん」 「どっちも良い感じだな」  皆もそう言ってくれる。  玲央が選んでくれた服。  玲央の好みじゃないと思う。派手じゃないし、目立つ感じでもないし。オレに似合いそうなのを選んでくれたんだと、思う。  シンプルだけど、着心地良くて。それだけでも幸せなんだけど。  髪型も。玲央がドライヤーを掛けてくれて、そのまま、「ちょっとだけいじっていい?」と聞いてから、セットしてくれた。  それが似合うって言われて、めちゃくちゃ嬉しくて。 「ありがと。嬉しいな」  微笑んでしまうと。  なんだか皆が急に、ニヤつきだした。 「……ん?なに?」 「優月、彼女出来た?」 「え……なんで?」 「なんか幸せそうな顔してさ」 「え。そう……?? でも別に彼女じゃないよ?」  ……好きな人は。  ……できたけど。  そういうのって、バレるのかな?  ……え、オレ、幸せそうって、どんな顔してんの??  関係がセフレとか言ったら、皆に反対されそうなので、言わないけど。  授業が始まって、皆、前を向く。  オレも、授業に向かうけれど。  ……なんか。  …………浮かれすぎないようにしないと。  気を引き締めようと思うのだけれど。  ………無理かも。  ……なんかオレ。  ……毎日毎日、どんどん、玲央の事、好きになってくんだけど。  ……………どうしよう。  昨日の夜、覚えてない位、やばい位、気持ちよくさせられて。  させられてばかりで、いいのかって、ほんとに思ってしまうんだけど。  玲央は、朝目が合ったら、ほっとしたみたいな顔して、謝ってきた。  ほっとしてるのって、なんだろうって、頭、掠めたけど――――……オレが怒ってると思ったのかなあと、後からふと思った。  そもそも実際、普通の行為っていうのがよく分かんないし、男同士だから、余計に分からないけど――――……玲央は、ただひたすら優しいし、自分のこと後回しで、触れてくれてる……気がするし。オレが怒る訳ないんだけどな。  ずっとずっと、あんなに、誰にでも、優しいのかなあ。  オレだけに優しいとかそんなうぬぼれてる訳じゃないんだけど。  会う人皆に、あんなに優しすぎると――――……。  皆が、玲央に本気になっちゃうと思うんだけど。  それで本気になったら終わりとか言ってたら、  ……全員すぐ、終わっちゃうんじゃないのかな。  あ、でも、すぐ新しい人が出来そう。  ……そうやって、入れ替わってるのかな???  ……って、オレは一体何を考えてるんだろ。  うーん、と眉が寄ってしまう。  オレ、金曜日に玲央に会ってから。  ……授業、ほんとにヤバいな……。  玲央の事考えてないで、ちゃんとしよ……。    そう思うんだけど、はっと気づくと、浮かんでる玲央の顔。  ……だめだなー……。これ……。  ――――……こんなに、誰かの事が、  ずっと頭にあるとか。  生まれて初めてすぎて、どうしたらいいのか、分からない。  オレ、今までも、好きな子は居た、と思ってたんだけど。  ――――……なんでこんなに、全然違うんだろう。  玲央を思うこの気持ちが、好きってものなら、  今までのは、何だったんだろ……。   ていうか。  ……玲央て……。  男、なのにな。  性別のことも――――……すっとばして、  女の子、好きだったはずの時より、  好きすぎて、頭から離れないって、自分でも、不思議すぎる。  ――――……でもなんか。  ……玲央のこと 思い出すと。  鼓動が、少し、早くなる。  心臓を、ぎゅ、と掴まれたみたいな感覚。  ときめくって、こんな感じなのかな、と、  身をもって、知る感じ。     ◇ ◇ ◇ ◇ 100ページ、です(^^)/ いつもありがとうございます♡ by悠里

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