101 / 850
第101話◇
玲央の事ばかり考えたまま、2限を終えた。
皆と話してて、服装とか髪形とかって、結構ちゃんと見られてるんだなーと、驚く。歩いてて会った友達にも、同じような事を言われた。
オレ普段、外見を、気にしなさすぎかも……。
変じゃない程度の服を、一応、着てればいいやと思ってた……。
あんまり今日の服が似合うとか言われると、いつも着てるのが似合わないのかと思って、少し可笑しくなってしまう。
スマホを開いて、玲央に、洋服のお礼を入れておいた。
あんまり似合うって言われるから、伝えておこうと思って。
それと一緒に、昨日の昼に食堂から逃げ帰ったオレを心配してくれてたらしい美咲と智也からの連絡に、「遅くなってごめんね、大丈夫、また今度話すね」と、返信しておいた。
2限、ほとんど授業に集中できてなかったけど。
とりあえず、残りの授業は頑張って出ようと、気合を入れつつ。
――――……お昼どうしようかなあ。
クロにゆっくり会えてないんだよなー……思いながら、どうしようか考えていた時、前方から智也の姿。
「あ、優月」
「智也。 あ、ごめんね、返信遅くなって」
昨日の夜の連絡に、翌日の昼前に返すなんて、普段は無い。
心配かけたかなと思って、謝ると。
「大丈夫。なあ、お前、今日昼どーする?」
「特に約束はしてないんだけど……今日はクロの所で食べようかなーと思って」
「そっか。……なあ、オレ今さっき、神月と少し話したよ」
「そうなんだ? 何話したの?」
「……何をって程じゃねーかな。優月の事少し……あーでも、ちょっと余計なこと言ったかも、オレ」
そんな風に言い出した智也を見上げて。
すぐに、ふ、と笑ってしまう。
「大丈夫だよ。智也が言う事で、余計な事とか、きっと無いから」
「んー、でもなんか、神月に何か突っ込まれたらごめんな」
クスクス笑って智也が言うので、大丈夫、と笑って返す。
「なあ、優月」
「ん?」
「また近々夕飯たべにいこ。美咲も誘って」
「うん。……あのさ、美咲、平気?」
「ああ、まあ……心配はしてるけど――――……まあ、美咲が優月を心配するのは、いつもの事だろ。大丈夫」
笑う智也に、少し後、ふ、と笑って頷く。
少し話して、智也と別れて、いつものコンビニに向かった。
「こんにちはー」
言うと、コンビニのおばちゃん達が、オレを見て、あれ、という表情を浮かべた。
「優月くん、何? オシャレしちゃって。デート?」
「あー……あはは。違いますけど」
何となく、さすが、と思ってしまう。
一目で、突っ込まれた。
「今日って、クロもう缶詰食べました?」
「まだよー、優月くん来るかなーと思って」
「あ。良かった」
自分の食事を選んだ後、猫缶の所に行って、1つ選ぶ。その隣に、玲央が買ってきてくれたおやつが掛かっていた。
これも買ってこ……。
何となく、微笑んでしまいながら、レジに行くと。
「そう言えばこないだ、優月くんのお友達かな。すっごいイケメンの子がこのおやつ買って行ったのよ。聞かれたから、これを教えてあげたの」
「あ、はい……」
玲央だ。 すっごい、イケメンの子……。
……何だか、クスッと笑ってしまう。
「居なくなってから、2人で大騒ぎしちゃったわよね」
「そうそう」
楽しそうな2人に、オレは何となくその様を想像して、クスクス笑った。
「分かります……カッコ良すぎですよね」
「あら、優月くんもそう思う?」
「誰でも思うんじゃないかなーって思います」
答えると、2人は、うんうん、と頷いてる。
レジを終えて、2人に挨拶しながら、コンビニの出口に足を向ける。
すっごい、イケメンの子、だって。
うんうん。分かる。
ほんと、近くで見ても、めっちゃ整ってて、非の打ち所が無いというか。全部カッコイイもんなあ……。
なんて思いながら、自動ドアを出た瞬間。
目の前を通り過ぎて行った人が、こちらにふと視線を向けてきて。
「――――……」
なんか、嘘みたいなタイミング。
目が合った、その人は――――……玲央、だった。
ともだちにシェアしよう!