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第103話◇

 玲央の手が髪に触れて、そのまま少し撫でられた。 「な、優月」 「ん?」 「一緒に来て?」 「――――……うん?」  クロを撫でて膝から下ろした所で、手を掴まれて。  一緒に、歩き出す。  学内の一番端にある、去年の秋に建設されたばかりの校舎に入った。  まだできたばかりで、あまり授業には使われていない。  手を引かれたまま、静かな校舎を進んで。  奥のトイレに入った。  そのまま個室に引き込まれて鍵がかけられた。 「――――……キスしていい?」 「……え。あ、うん」  急な展開に、かあっと赤くなってしまう。  でも――――……嫌な訳はないし。  頷くと。  ぐい、と上向かされて、唇が重なってきた。 「――――……っ……」  すぐに、舌が絡んでくる。  舌が熱くて、触れてくる手も熱い。  オレに、触る時の玲央――――……。   いっつも手、すごく熱くて。それだけで、なんか、ぞく、とする。  ぎゅ、と玲央の服、握ってしまう。 「……っ……ん……」 「……優月――――……」  玲央の息、熱い。……なんか――――……気持ちいい。 「……ん、んっ……?」  服の裾から手が入って、胸を撫でられる。 「……っ……っ」  手の平で、何度も胸をさすられて、びく、と体が震える。 「……っ……」  擦られる度に、胸の先端が、ゾワゾワする。    「――――……ふ……」  舌を吸われて、ぞくり、と腰が震える。  覆いかぶされるみたいに、口づけられて。全然、動けない。 「……れ、お」 「――――ん?」  唇の間で小さく名を呼んだら、唇、触れたまま、瞳をのぞき込まれた。  熱っぽい瞳。  こういう時の玲央の瞳。――――……本当に、吸い込まれそうて、思う。  胸が、ドクドク言って、うるさい。 「……優月……」    見つめあったまま何も言えないでいると、また深く重なってきて、胸に触れられて。先端をきゅ、と摘ままれた。 「……っあ……」  絡んでた舌が外れたのを、また深く、絡め取られる。 「……んっ……ン……っ」  人は――――……来なそうだったけど、100パーセントじゃない。  ……どうしよう。だめだ、むり……。 「玲央……っ……オレ」 「……うん?」 「声、出ちゃう、から――――……無理……っ」 「……誰も、来ないと思うけど」 「……でも……」  たまたま来るかも、しれないし。  じっと、玲央を見つめると。  「――――……じゃあ……キスだけにする?」  胸が、とくん、と、震える。  自分から、玲央の唇にキスしたら、すぐ、深く絡んでくる。 「……ん、ふ――――……っ……」  なんか――――……もう、キスも。  気持ちよすぎて。まずいんだけど……。 「……んん……っ……」  ……だめだ。オレ、玲央のキス――――……。 「……んン……」  噛まれたり、吸われたりして。  ゾクゾクしたものに体支配されて。 「……っ……」 「……熱い?」 「っ……」  そっと、下に、玲央の指が触れてくる。 「……出したい?」 「……っ……っ」  ……わざとだ、絶対。  ふ、と笑う玲央。 「――――……触ってほしい?」 「……っ……でも……声……」 「――――……口、塞いどいてやるから」 「……っん……ふ……」  キスされて――――…… 下、引き出される。 「……ぁ……っ……ンっ……」  声が漏れた唇は、またキスされて塞がれる。  下、刺激されて。訳わからなくなっていって。気づいたら昇りつめてた。 「……っ……は……っ………」  いつの間にか玲央が手に取ってたトイレットペーパーの中に達したみたいで、玲央の服とかを汚しはしなかった事にまずホッとして。ベルトをはめてくれる玲央の手をぼんやり眺める。 「……っ……」  涙で霞む瞳で、玲央を見上げる。 ふ、と笑んで、ちゅ、とキスされる。  なんでこんなに、優しく、キスするんだろう。  こんなキスされてたら、絶対、誰でも、勘違い、しちゃうよ……。 「……玲央は?」  玲央のも熱くなってる。 「――――……んー……じゃあ、触ってくれる?」 「……うん」  そっと、触れると。かたいし、すごく、熱いし。  ――――……オレのとは、なんか、全然違う気がする……。 「優月、そのまま握ってて」  オレの手の上から、玲央の手が絡む。そのまま動かす。  やらしい光景を、つい、見てしまって――――……何だかぞくぞくする。  恥ずかしくなって、目を逸らして玲央を見上げると。  玲央も、すこし上気した、顔。 「……れお――――……」  思わず、ちゅ、とキスしてしまう。  玲央の瞳が、こんな時なのに、すごく優しく緩んで。  ドキドキが半端ない。 「――――……っん……」  深くキスされる。  こんなとこで――――……。   めちゃくちゃキス、されて。  触れられて。自分も、触れて。    しかも、相手は、男で。  なにしてるんだろ。と、頭のすみで、思うんだけど。 「――――……っ」  玲央が手の中で、達したのが分かって。  何でか、自分まで、かあっと熱くなる。 「……は――――……なんか早や……」  クッと笑いながら言って。  玲央が、後始末を終えた。 「……優月……」  なんで――――……そんな風に、名前、呼ぶんだろう。  ずき、と胸が痛くて、一瞬、俯いてしまう。 「……優月?」  玲央が、オレの頬に触れた。   顔を上げさせられて、まっすぐな玲央の瞳を見つめてしまう。  ほんとに、こんな所で男の人と何してるんだろうと、頭のすみっこのほうでは、すごく思うんだけど。    なんか――――……。  好きすぎて……どうしよ……。 「優月、オレ……」 「……玲央?」 「――――……お前が、可愛くてしょーがないんだけど……」 「――――……」  見つめられたまま、そんな風に言われて。  なんて返したらいいのか、分からない。 「……なンだろな、これ――――……」     呟いた玲央に、そのまま、ぎゅ、と、きつく抱き締められて。  なんか――――……胸の奥が熱くて。  玲央の背中に腕を回して、ぎゅ、としがみついた。

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