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第107話◇
【side*優月】
毎日会うのが嫌かと、聞かれた。
嫌じゃないって、答えた。
そしたら。普通、セフレって、そんなに会わないって、言われた。
え、どういう意味だろ?
……セフレなんだから、毎日会うのは変って……言いたい?
確かに、月曜から3日間、玲央と会ってる。……会いすぎって事……?
戸惑ってる間に、また次の質問が来て。
オレの事、好き?と聞かれた。
え。
――――……もう。
パニック。
セフレはそんなに会わないって言われた後で。
好きかって。
――――……本気になったら終わりって、玲央、言ってるのに……。
え、どういう意味?
なんて、答えれば、いいんだろ。
好きって。
――――…… 好きって、言ったら、終わるの?
セフレはそんなに会わない。
セフレは本気にならない。
――――……。
え、なのに――――……何で、わざわざ好きって、聞くの?
だから、嫌いじゃないって、言った。
でも、精一杯の意味を込めて、一緒に居たい、とも言った。
でもなんか――――……。
何回か、嫌いじゃないって何?って、聞かれて。
――――……もう、何て答えるのが良いのか、全然分かんなくて。
ひたすら嫌いじゃないって言葉を選んでたら。
抱き締めてくれてた手が、ふ、と離れた。
仕方なく、自分も離して。
そしたら、玲央、もう行くって……。
でも一緒に出るかっては……言ってくれたんだけど――――……。
思わず、退いてしまった。
玲央が、トイレ、出て行く気配がして。
――――……でも、出れなくて。
壁に背をついて、俯く。
――――……怒った? のかな?
……何に?
好きって。
――――……言いたかった、けど。
だって、本気になったら終わりって……。
――――……全然、分かんない。
じわ、と、涙が滲んできた。
うわー……。
……オレ、こんなことで、泣くの……?
……嘘だろ…………。
昔よく、泣いてたな……。
――――……泣かなく、なったのになぁ……。
さっき、見てしまった、玲央の背中が――――……。
瞼の奥で、消えない。
――――……つい、さっき。
可愛くてたまんないって、言ってくれてたのに。
――――……って、どういう事?
可愛くてたまんないって、言ってくれてたなら……。
好きって、言っても、良かったのかな……?
…………でも……。
――――……だめだ。
難しくて、全然分かんない。
……やっぱりオレ……。
――――……セフレなんて、荷が重いのかな。
よく、分かんない。
――――……好きなのに。
好きって言っちゃいけないとか。
なのに、好きかって、聞かれちゃうとか。
――――……まるで謎かけみたいで。
なんて答えるのが正解なのか――――……。
オレに分かる訳、無いじゃん。
…………玲央のバカ。
なんて思いながら。
切なくて、拭っても、涙が滲む。
さっきまで、あんなに触れてくれてたのに。
――――……もう、触れて、くれないのかな。
オレを――――……見つめて、くれないのかな。
そんなの、本当に、やなんだ、けど。
なかなか涙が引かなくて。
外で誰に会っても絶対バレないように、元通りの顔になるまで、かなりの時間をトイレで費やしてしまった。
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