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第122話◇

「なあ、優月さ」 「うん」 「……オレが他の奴とセフレなの、嫌だよな?」 「――――……」  とりあえず、ちゃんと聞いておこうと思って聞いた。  優月は、食べながら、めちゃくちゃ、きょとん、とした。 「んー……?」  すぐに、うん、と言うかと思ったら。  首を傾げている。しばらく無言で。 「――――……あのね、玲央」 「ん」 「……それ、オレが嫌っていうの、変じゃない?」 「……ん?」 「……だって、オレ――――…… 玲央のそれをとめる立場にない気がするんだけど……」 「――――……」  優月の言葉に、思考が止まる。  立場……?  ――――……立場ってなんだ?  返さないオレに、優月はんー、と困ったような顔で、続ける。 「……もしオレが女の子で、玲央の恋人とか奥さんとか、そういう人ならさ。 玲央のセフレ嫌だって言うの当然だと思うんだけど……」 「――――……」 「……オレ、違うし、それに――――……」  また、そこからしばし、うーん、と考えて。 「……どう考えても、今まで玲央と付き合ってた人たちと比べてもさ、オレって、あとからだし。 もともと、玲央にそういう関係の人がいっぱい居るって言うのも知ってて、オレ、玲央の所にきたから」 「――――……」 「だから、最初から、それがすごく嫌だったら、来てない……んだよね……」  優月が段々、心細げな話し方になっていくのは。  たぶん、オレの眉が寄っていってるからだと、分かっているのだけれど。  どうも顔が戻せない。  オレの顔をじっと見て、優月がすごく困った顔をしてる。 「――――……なんで……玲央がそんな顔するの……??」 「……わかんねー」  言いながら、唐揚げをひとつ口に入れた。 「……ちょっと考えるから、お前も、食べてて」 「……うん」 「あ、炒飯食べるか?」 「……うん」  皿に取ってやって、優月に渡す。  ちょっと困った顔をしながら「ありがと」と、受け取って、優月がもぐもぐ食べてるのを何となく眺めながら。  んー……。  ――――……なんだろうなあ。    セフレが嫌じゃなくて、OKなら、らくちん。  オレが遊びたい時に遊べばいいよな。  ――――……と、素直に、思えない。  今まで、お互い干渉ナシ、束縛ナシ、だったから。  逆に自分のセフレが、他の奴とそういう事してたって、全然良かった。  けど。  その話で行くと。  オレが誰と何してもいい代わりに。  優月も、誰と何してもいいって事になるわけで。  ――――…… 優月が、他の奴と寝るとか……んー……なんか、女としてる姿は浮かばねえな。    優月が他の男に抱かれるとか……?  ――――……は……?  つか。  想像しかけただけで、  ――――……死ぬほど、ムカつくんだけど。

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