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第127話◇♡
「……誰から?」
玲央に聞かれてしまった。
「え? ……あ。 えーと、蒼くんって言って……絵の先生の息子さん。ていうか、蒼くんも先生みたいなものなんだけど……」
「…それ、昨日も一緒に居た奴?」
「あ、うん。そう」
「――――……仲いいの?」
「んー7才から知ってるからね。ほんとのお兄ちゃん、みたいかなあ。いっつもからかわれてるだけな気もするけど」
ほんと、ひたすらからかわれている……。
ふー。やれやれだよ、ほんとに。
椅子に座って、水で、口を潤した。
そうだ。蒼くんの話なんかより、玲央とまだ話してる事があった。
「…それよりさ、さっきの話なんだけどさ」
「――――…ん?」
「…オレは、玲央が居てくれる間は、玲央としかしないよ…?」
「――――…」
「ていうかさ、オレ、玲央でいっぱいいっぱいなのに、他の人に行く余裕なんて、ないし……」
ほんとに、玲央が言ってる事が、全然意味が分からない。
オレが、玲央以外と、する訳ないじゃん。できる訳、無いじゃん。もう。
ついつい、文句っぽい言い方になってしまう。
でも、玲央は、怒ると言うよりは、少し、嬉しそうになってて。
…なんでだろ。
「…優月」
「…ん? 何?」
「早く食べて」
「…え? うん。食べるよ?…ていうか、オレもう、結構食べたんだけど…」
なんで改めて、早く食べて、なんだろう。
玲央を見つめて、首を傾げていると。
「――――…触りたいから。早く食べ終わって」
「――――……っ」
――――……だから。
そういうのに、慣れてないから。 やめてほしいんだけど。
触りたいって。
――――……オレも、触ってほしいから。
そんな風に、言われると、なんか――――……。
「……あのさ、玲央」
「ん?」
「………こっち、来て?」
「――――…」
玲央が、ん?という顔をして、じっと見つめてくる。
「ここに居る時いっつも、隣座ってるから……なんか、遠い」
ちょっと、寂しくなってしまう。
それくらい、玲央はいつも、すぐ触れられる位隣に居てくれる気がする。いつもっていっても。 3日目、なんだけど。
たかが3日で。
今まで過ごした誰よりも、ものすごい近くに居る、玲央。
――――……体的にも、気持ち的にも、密着度合いが、半端なさ過ぎて、
なんだか、色々冷静に考えられない位で。
先週の金曜に玲央に会ったから……。
木曜までのオレとは、考えてる事が、全部、違う。
頭の中、玲央の事ばっかり。 やばい、くらい。
「もう、食べなくていい? 良いなら、そっち行く」
そう聞かれて、顔を上げて、玲央を見つめる。
来たら触る、て、言われてるのかな。
――――……視線がまっすぐすぎて、熱くなる。
「……こ、れだけ食べちゃう」
お皿に取った食事だけ、食べきってしまおうと思って。
――――……そう言ったら。
「じゃ食べ終わってから行く。オレ隣に行ったら絶対触るし」
はっきりと、そう言われると、ますます恥ずかしいし。
そうだ。
夕方から、ずっと気になってた事。
触られたらもう聞けなそうなので、聞いておこうと、思った。
「…玲央、聞きたい事があって」
「ん、いーよ…なに?」
「…オレとのセフレ、もう一回考えるって言ったのってさ」
「ん」
「…あれってどういう意味?」
「――――…」
「…別にオレ、それだけがしたくて、玲央と居たいって言ってるんじゃない…よ? 玲央、他の人にも、ムカつきながら、セフレ何人も居るの…?」
「――――……」
玲央が、また、複雑な顔で、黙ってしまった。
――――……玲央の反応だけ、見てると。
オレが玲央だけなのが、嬉しいと思ってくれて。
玲央もオレだけにしてって。 オレに言わせたいみたい、に見えるけど。
――――……そんな訳、ないよね…。
でもだったら、何なんだろう。
何だか、難しくて、よく、分からない。
「――――やっぱり、オレはセフレにも、なれない?って事?」
「――――……は?………ん? どーいう意味?」
「……だって、オレ、よく考えたら…まだ玲央としてないし。 なのにセフレにしてとか… おかしな事言っちゃってるし…」
「――――…」
「他の人にはムカつかないなら、そこが違うの??」
「――――……」
だから、オレと、セフレは、ムカつくの?
してないのに、セフレとか言っちゃってるから…?
してないくせに、それだけがしたい、みたいに思えるから??
んー………。
……何だか、よく、分からないな。
普通の恋愛だって未経験で、普通の事だって分からないのに。
――――……難しすぎだー……。
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