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第130話◇

【side*優月】 「……っ……っ……ん……」  もう、しがみつく力も保っていられなくなって、ぱたんとシーツに手が落ちた。  胸に触れられて。舐められてないとこがないんじゃないかって位舐められて。キスマークをつけられて。そうしながら、何度も、イかされて。  その間、玲央が顔を上げてる間は、ずっと、めちゃくちゃキスされて。  もう頭の中、ぐちゃぐちゃで。  気持ちいいってことしか、考えられなくなってた。 「何回イったか分かる?――――……優月」 「……わか、んな……」  くす、と笑った玲央が、胸を舐めて、乳首を舌で転がすように刺激する。 「……っん、ン」  びく、と、体が震えて、思わず玲央の髪の毛に、触れる。  「――――……これ、きもちいい?」 「……んっ」  片方を舌で、片方を指で刺激されて、頷く。  なんでこんなに胸なんか、気持ちいいのか全然分からないけれど。  ゾクゾクが、全身を走るみたいで。足にも、力が入るし、自然と仰け反ってしまう位。   「……っん――――……」  視界が、涙で滲む。  息が震えると、ふと玲央が舌を外して、顔を上げてきた。 「――――……また泣いてる」  ぺろ、と目尻を舐められる。 「――――……これからもっと、泣くかな」  くすっと笑う玲央を見上げると、前髪を掻き上げられて、ちゅ、とキスされる。ベッドの枕元の所から、玲央が何かを取り出した。 「優月、俯せになれる?」 「……」  優しい声で言われるので、抗う事などできるはずもなく。 「枕、抱いてな?」  そう言われたので、枕の上に、俯せになった。 「……うん」  大きな枕を、ぎゅ、と抱き締める。 「――――……ローション、垂らすよ。ちょっとぬるぬるするからな?」 「……ん」  後ろに冷たいものが、つ、と垂らされた。 ふ、と後ろを振り返ると。  玲央が手にも垂らして、指に馴染ませているのが見えた。  心臓がまた、バクバクしてくる。  ……ドキドキする……。 「……痛かったら言えよ?」 「……うん」 「……まあ――――……痛くはしないけど」  ふ、と笑って。玲央が、ちゅ、と背中にキスした。  ひ、と変な声が漏れたけど、枕に飲み込まれた。 「そのまま膝ついて……ん、腰、少しあげてて?」  ――――……恥ずかしすぎる。   もう、めちゃくちゃ色んな事されて、何回も、気持ちよくさせられて、乱れてるとこ、見られてるけど。  そこ、触られるって……というか、こんな格好、後ろがめちゃくちゃ丸見えなのでは……。  見つめあうだけでドキドキする位カッコいい人の、カッコいい瞳に、一体何を見せてるんだろ。無理。ほんと無理なんだけど。どうしよう。無理。  あんまり見ないで、どうにか、やってくれないかな……。 「……玲央」 「――――……ん?」 「あんまり、見ないで、ほしい……」  枕にぎゅうっとしがみついたままそう言うと。 「………んー。そうしてやりたいけど……」  少し、考えた後。玲央は。   「……ん、まあ。なるべく、な?」  言いながらも、でも、その位置に居たら、全部見えちゃうし。  …………セックスするって。大変すぎる。  めちゃくちゃカッコよくて、なるべく、変なとことか見せたくない人に。  何で、他の人にも、絶対見せないようなとこ見せて。  泣いたり、声が出ちゃったり。  頭真っ白になっちゃったり。もう全部、この人だけにはむしろ見せたくないのに。  めちゃくちゃ好きなと人とセックス、するって。  ――――……恥ずかしすぎる。  涙が、滲んでくる。 「――――……優月?」 「……う、ん?」  玲央が、不意に体を起こして、オレの背中に重なってきた。 「………顔見せて?」 「――――……っ」  枕で目を擦りつつ、振り返ると。  玲央が苦笑い。ちゅ、と額にキスされた。 「……優月初めてだし、恥ずかしいの分かるけど。 ――――……けど、全部オレに任せてくれてるのがさ……」 「――――……」 「可愛くてしょーがないから。全部そのままで大丈夫だからな」  そんな事、言いながら。唇に、ちゅ、とキスしてくる。 「――――……っ」  なんかもう。  胸が撃ち抜かれたみたいな、変な映像が、頭に浮かぶ。  天使の矢が刺さっちゃったみたいな。ああなんか、頭おかしくなってるかも。  ……とにかく。胸が痛い、のか。苦しい、のか。  ドキドキしすぎて。 「……玲央……いつもそんなこと、言うの…?」  なんかもう。  そんな風に言われた人は、絶対皆、玲央の事大好きになっちゃうと思うけど。 とりあえずオレはもう、大好きなんだけど。  何だか涙が出てしまいそうで、眉を顰めて何とか我慢したまま、玲央を振り返っていると。玲央は、一瞬きょとんとして。 「――――……こんな事初めて言ったし」  とか、呟いてくるし。 「そもそも初めての奴となんてしねえから…こんな恥ずかしがってるの、優月くらい」  クスクス笑って。玲央がキスしてくる。 「恥ずかしがってるくせに、素直で、エロイし…… 可愛すぎ、お前」  ――――……もう、だめだ。  ――――……玲央ってば、タラシすぎて。  好き、すぎて、胸、痛い…。

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