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第141話◇

【side*玲央】  やっとの事で5限が終わった。即座に片づけて、立ち上がって教室を出た。 「あ、れーおー!」  掲示板の所で勇紀が駆け寄ってくる。 「明日、2時間、練習場所取ってあるから。5限の後ね。今回第2だから」 「あぁ、分かった」 「今日も優月と会うの?」 「――――……今待ってるから、これから会う」  ぷぷ、と勇紀が笑う。 「そんなに玲央が毎日同じ奴と会うの、ほんと珍しいよね。 あ。明後日のライブのチケット、優月はもってないよね、きっと。 あげた?」 「……その話、してなかった。来れるか聞いてみる」 「来てほしい? 優月に」 「……まあそーだな」 「ぷぷ。 明日の練習も優月くるかな?」 「まだ予定聞いてないから分かんねえけど」 「まあオレ、優月大好きだから、ずーと来てくれても全然問題ないけど」  クスクス笑いながら、勇紀がそう言う。 「あ。そういや、お前に聞きたい事があった」 「うん? なに?」 「優月って、お前と話してる時、赤くなる?」 「ん?」 「……すぐ顔赤くなるか?」 「んーーー? 何その質問? いや、あんまり見た事ない……あ、あん時」 「あん時?」 「昼学食で会って、優月が逃げていく前、赤くなったよね。あれ、玲央の顔見たからでしょ? あ、あとこないだ練習に来た時。皆の前で玲央にキスされて、赤くなってたけど」 「――――……」 「玲央絡むと赤くなっちゃうんじゃない? 可愛すぎなんだけど。同じ年の男と思えないよね、優月」  またクスクス笑ってる勇紀。 「いや――――……オレと話してなくても、たまに赤くなるから」 「ふうん? ……オレは今まで気になった事ないけどな?」 「ならいいや。 んじゃまた明日な」 「はいはーい。優月によろしくー」  勇紀と別れて、いつもの場所に行くと。  優月が、ベンチに座って、ぼー、と空を見上げてた。 「優月?」 「あ。玲央」 「どうした? クロは?」 「どっか遊びに行っちゃってるみたいで、会えなかった」 「そっか。 寂しかったな」  そう言ったら。  きょとん、として、オレを見て。  優月は、ふふ、と笑った。 「うん。ちょっと、寂しかった、よ」 「? なんだ?」  妙に笑っているから、とりあえず優月の隣に腰かける。 「……だって、クロが居なかったって言って、寂しかったなって言ってくれるなんて、思わなかったから」 「……だってお前、寂しいだろ? 大好きじゃんか」 「――――……うん。そうなんだけど……」  優月が何だか嬉しそうに笑ってる。  何が言いたいんだかよく分からず、でも嬉しそうなので、くす、と笑って優月を見てると。 「――――……」  優月が急に体を傾けて。  オレを覗き込むようにしたまま。 ちゅ、と一瞬、キスしてきた。   「……玲央、大好き」  少し恥ずかしそうにしながらも。  嬉しそうに、にっこりと笑って、そんな風に言う。 「――――……」  離れようとした優月の腕を掴んで止めて。  唇を重ねる。優月の舌を絡め取る。 「……ん――――……んっ……」  バカだなーお前。   キスなんか、してきたら、こうなるってわかんないのかな……。 「……れ――――……ん……っ」  一度、少しだけ離してやるけれど。  息は熱いし。  開いた瞳は、涙目。上気した肌は可愛すぎるし。 「――――……ぅ、んっ……」  またキス、してしまう。 「れ、お……れお……ってば」  押されて、離される。 「んだよ……?」  かなり、不満。 「――――……立てなく、なっちゃうよ……」  かあああっと赤くなりながら、そんな風に言う。  可愛いな。  ――――……ほんとに。 「――――……おんぶしてやろっか?」  クスクス笑いながら言うと、優月はプルプル首を振る。 「今やめてくれれば、歩けるから」  そんな風に言うので、仕方なく、キスは諦めた。 「……クロは居なかったけど、空が綺麗だったから、ぼーと見てたら、いつの間にか時間経ってた」  そう言われて、優月がさっき見ていた空を見上げる。  言われて見ると、かなり綺麗な夕焼けで。 「さっきまではもっとピンクだったんだよ」  そう言う優月に、なんだか、和む。  よしよし、と撫でてしまう。  先週までのオレが、今のオレを見たら、後ろから蹴り入れそうだなと思ってしまうのだけれど。  大人しく撫でられてる優月を見てると、可愛く思えて。  これはどうしたって、撫でるだろ.と。  一人頭の中で呟いて。  優月の頬を、すり、と撫でた。

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