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第145話◇

【side*優月】  夕陽が綺麗で。  玲央が優しくて。日没まで一緒に空を見て。  キスされて。 なんかロマンチックだなーと思ったりして。  好きな、オムライスのお店に一緒に行った。  オレが払うと言い張って、払わせてもらった。  なんか、いっつも、出してもらってるってどうなのだろうと思って。  そりゃお金持ちだから玲央的には全然良いんだろうけど。  ……とりあえず、オレが連れていったお店だし、とりあえずここだけ払わせてと。 そしたら、面白そうな顔をしながら、じゃあ、ありがと、と言ってくれた。  なんか楽しいなあ~とウキウキしながら歩いて、玲央のマンションに着いた。それで、玄関に入ったら――――……。  何か、よく分からないけど。  急に壁に押し付けられて。  玲央が、急に、めちゃくちゃ、発情……したみたいになって。  なんか――――……キスから、始まったのは、分かってるんだけど。  上から下まで、なんか全部、一気に色んな事をされてるみたいな感覚で。  全然ついていけないまま、頭真っ白にさせられて。  ……最後だけ、嫌すぎて、はっきりしてた。  シャワーも浴びてないのに、口でされて。  それだけだってありえないのに。  また、飲ん――――……わーわーわー。もう、無い……。  ほんと、無い。  ……もう。  怒ってたら、シャンプーしてくれるって。  いつまでも怒ってても……ていうか、オレが怒るのも何か違う気がして。  頷いたら、抱き上げられて、また運ばれてしまった。  ……玲央って。  オレのこと。  ……何だと思ってて、こんな風に、優しくするんだろう。  また触られちゃうかなとビクビクしてたけど、体は普通に洗わせてくれて。その間にお湯が張られたバスタブに、言われるままに、浸かる。  バスタブに寄りかからされて、頭を外に出させられて。 「――――……目、つむってな?」  玲央はシャワーを緩く出すと、オレの髪を流した。  目を伏せて、優しい手の感触を感じていたら。  玲央が、口ずさむみたいに歌い始める。  わーなんか。  ……すっごく……贅沢な気がする……。  シャンプーの良い匂いがして、優しい手が頭に触れる。    ――――……歌、上手だなー……。  なんか全部、心地よい。 「優月、きもちいい?」 「……うん。すごく……」 「眠い?」  くす、と笑って。 「眠くない……玲央の歌が、好き」 「ん?――――……あ、今の歌?」 「うん……続き、歌ってほしい……」  玲央がくす、と笑う気配がして。   顎をくい、と上げられて、ちゅ、とキスされた。 「――――……しにくいな」  そりゃそうだよね。  顔の向き、上下逆だし。  クスクス笑ってしまう。 「流してからにしよ」  そんな風に言いながら、優しくまた洗い始めてくれる。   「……かゆいとこは?」 「んー……ありません……」 「ん」  クスクス笑って。それから、また歌を口ずさんでくれる。 玲央の声。 ……ほんと。いい声。  洗い終えて、丁寧に流されて。  それから、まためちゃくちゃ良い匂いのリンスがつけられる。 「マッサージしてやる。サービスな?」 「……ん」  気持ちい。  一気に眠くなってくる。 「……何でマッサージまで上手なの……?」 「オレが店でやられてるのを真似してるだけ。気持ちいい?」 「……うん」 「じゃーよかった」  クスクス笑いながらの、優しい手。  ――――……ああ、もう気持ちよすぎ……。  なんか。  ……玲央と居るのって。幸せ過ぎて。  ――――……頭ん中、どろどろに、溶けそう……。

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