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第146話◇

【side*玲央】  ――――……寝た?  マッサージをしてやって、リンスを流してやってる内に、優月からふ、と力が抜けたような感じがして。  じ、と見下ろして。頬に触れると。反応、無し。 「――――………」  ――――……ほんとに、寝た。  無邪気な寝顔を見てると。  ふ、と 笑ってしまう。    ほんと可愛い。と思ってしまう。  とりあえず、自分の髪を洗ってしまう事にして。  優月がずり落ちて行かないように気にしながら、洗い終えた。  ……スヤスヤ寝すぎ……。  ――――……どうすっかなー……。  無邪気な寝顔をしばらく眺めていて。  まあ、いっか。起きるまで。そう思った。  バスタブに入り、後ろから優月を支えた形で、湯につかる。 「――――……」  ……は。可愛い。  後ろから、ぎゅ、と抱き締めて、なんとなく、優月の手に触れて指をさする。  ――――……勇紀とか甲斐とか……颯也もか。  ……こんな事してるのバレたら、一体何て言われるか。どんな顔されるか。  ふと、そんな考えが浮かんで、苦笑い。  ぬるいお湯にゆっくりつかって、優月を抱いたまま。  鼻歌なんて歌い出す。 「――――……」  先週知り合って。  ――――……月曜に約束して。そこから毎晩。  ……毎晩というか、昼にも連絡したり。……授業の途中で呼び出したり。  あいつらにも、誰か分かんねえとか言われ。  ――――……普段やらない事に、散々突っ込まれ。  ――――……自分でも、ほんと、何やってンだろうと、思ってしまう。  ……けれど。  優月の頭を、左肩に寄りかからせて、後ろからのぞき込む。  自然と、微笑んでしまう。  自分でだって、正直、よく分からない。  優月が、ぴくん、と動いた。  オレが触れていた手を、ぼーっと見つめて。  くる、と後ろを振り返ってきた。 「……れお?」  状況がよく分かってないらしい。何も言わず、じっとオレの顔を見つめて。  数秒後、やっと認識したらしく、がば、と起き上がろうとした――――…けれど、後ろから抱き締めて、止めた。 「……このままでいいよ」 「……オレ、寝ちゃった、んだよね?」 「ん、少しだけな?」 「――――ごめんね?」 「全然。だめだったら起こしてるし」 「――――……ありがと」  くる、と振り返ってきて、オレをじっと見上げて。  ちゅ、と頬にキスしてくる。  ……はー。  ……可愛いなあ……ほんと。   「優月、こっち、向いて」 「……ん?」  腕を掴んで、向きをかえさせて、オレの上に優月を座らせた。 「――――……これ…ちょっと、っていうかすごく、恥ずかしい、かも……」  少し引き気味の優月を、きつく抱きしめる。 「―――――……なんか……すごい密着……」  そんな風に恥ずかしそうに言う優月に。  唇を重ねる。 「――――……ン……」  一度キスを少しだけ外して。  指で、優月の下唇のすぐ下に触れる。 「――――……舌だして」 「……っ……」  言われた言葉に、優月が、かあっと、赤くなる。  けれど言われるままに、舌を少し出してくる。  その舌を絡め取って、口内に引き込む。 「――――……っん、ふ、ぁ……」  そのまま長いキスをしていると、優月が、ぎゅ、と瞳を伏せた。 「……ぅ、ん……っ……ン」 「――――……吸うの、好き?」  舌を舐めて、ちゅ、と噛むと。  んん、と声を出して、震える。 「ん……好き……」  舌が離れない位に、小さく頷く優月。 「オレ――――……お前とキスすんの、すげえ好き」 「――――……っ……オレも……」  そろ、と手が後ろに回って、きゅ、と抱き付かれる。  ――――……何で、自分がこんなになってるか、正直よく、分からない。  でも。  優月を見てると。今まで感じた事がない位。  可愛いとしか、想えないのは、確か。

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