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第149話◇

「……お前ってさ」  その頬に触れて、じっと見つめる。 「……いつもそんなに赤くなんの?」 「――――……?」 「前から、すぐ赤くなる?」 「……え、と……?  たぶん、玲央と……会ってから、だと思うけど」 「――――……」 「……オレ、顔赤くなるとか……全然なってなかったと思うんだけど……」  ……今もこんなに赤いのに? 「……玲央、何、聞きたいの?」  首を傾げてる優月に、じっと、見つめられる。 「――――……昨日電話してる時も、赤くなってたろ?」 「……電話?……あ、 蒼くん?……」  なんだっけ。赤くなったっけ……。ぶつぶつ言いながら、眉を寄せて考えてる。数秒後、あ、と口が開いた。 「ん?」 「あの……蒼くんもさ、モテるから……一昨日セフレ居る?とか聞いたら、玲央のこと話すことになって……そしたら昨日は……最後までした?とか聞かれて……赤くなっちゃったかも……」 「――――……」  ……ん? オレのこと?  なんとなく、目の前の優月の頬に触れる。 「――――……じゃあ、今日、昼の後、村澤と歩いてた時は?」 「……智也……?……あ、教室の前?」 「ああ」 「――――……あれも……今日も神月と会うの?て聞かれて。……ほんと毎日だなーとか……あの……愛されてんなー……とか言われて……あ、違うよ? 智也が勝手に言っただけで、オレがそんなこと言ったんじゃないんだけど……」 「――――……それ言われたから、赤くなったのか?」 「……うん……ていうか、オレそんなに赤くなってる? 確かにたまに、顔あついけど……」  ――――……うーーー、と唸って、頬を抑えてる。 「……赤面する病気って何だっけ……」 「――――…」 「……あ、あと、オレ、別に色んな人に、玲央とのこと話してないからね。 蒼くんには言わされたけど ……あとは、幼馴染の二人だけだから……言い振らしてる訳じゃないからね??」  そんな事言ってる優月に、笑ってしまう。  別にそんなのはどーでもいいし。  ……ていうか。  ――――……赤くなってンの、もしかして。  ……全部オレ絡みか?  なんだか、思ってもなかった所に行きついて。  なんとなく引っかかっていたものが、一気にさっと晴れた。 「……優月」 「ん?」 「――――……オレ、やっぱ、すげえお前が可愛い」 「? ――――……なんで?」 「……何でも」  ふ、と笑って。  優月を抱き締める。 「……玲央?」 「――――……ん?」 「何でそんな、笑ってるの?」 「――――…んー。 さあ……わかんね」  そんな風に答えると。  少し黙ってた優月は、不意にくす、と笑った。 「――――…楽しそうで、嬉しいけど…」  オレをまっすぐに見上げてくる優月に、何度かキスを繰り返していると。 「…玲央、喉乾いちゃった。そろそろ……出よ?」 「ん、そうだな」  ちゅ、とキスして。立ち上がって、優月にシャワーをかけて、バスルームを出た。 「――――……バスローブでいいよな?」 「……ん」  頷く優月をバスタオルで包んだ後、バスローブを羽織らせた。  優月が腕を通して着てる間に、ドライヤーを出して、優月の髪にあて始める。 「玲央」 「ん?」 「今度は、オレがああやって洗ってあげるね」 「――――……ん」  頷いて、優月にドライヤーをかけ続ける。乾くと同時に優月がドライヤーを受け取って、交代。  ドライヤーの音で、ちゃんと声が聞こえないので、何となく黙って。  ――――……乾き終わるまで、待った。 「ん、終わり」  笑んで、ドライヤーを止めて、オレを見上げた優月の手からドライヤーを取って、台の上に置いて。  そっと、頬に触れた。 「優月」 「ん?」 「――――……お前さ」 「……うん?」 「……オレの側に、居ろよな」  何だか、すごくそう思って、そう言うと。 「――――……居て、いいの?」  優月が、まっすぐ見つめながらそう聞いてきて。  オレが、頷くと。  優月は、ふわ、と嬉しそうに、笑った。

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