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第154話◇

「…やらしーなー、優月…」  笑いを含んだ声で言われて。  恥ずかしさに、顔に一気に熱が集まって。  自分でも予期せず、ぼろっと、涙が溢れた。 「うわ…」  玲央が、一瞬、びっくりして。  それから、ふ、と苦笑いしながら、涙を拭った。 「…そんな泣くなよ」 「――――…っ意地、悪…」 「…ごめん、すげー可愛くて…」 「…………っ…すぐ、笑う、し…」 「…んー…? だってすぐ赤くなって、可愛くて…」  クスクス笑いながら、ちゅちゅ、とキスされる。 「…玲央の触り方が、やらしすぎる…からだし…」  一生懸命訴えてると。  少し黙った玲央が。  クックッと震える。 「わら、わないでよ…」  …また笑うし。 「分かった分かった。――――…オレが、やらしいからだもんな…?」  クスクス笑いながら、ぺろ、と唇を舐めてくる。 「――――…だから、お前も、すぐ気持ちよくなっちゃうんだよな?」  ひたすらカッコイイこの人は。  オレを上から、見下ろして。  ニヤ、と、笑う。 「全部オレのせいにしていいから――… すげー気持ちよくなろうな?」 「…………っ…」  なんか、妖しすぎるくらい、色っぽくてカッコいいけど。  ぞく、と。  あんまりいい予感が、しない。 「お、おれ…」 「んん?」 「…ふ、普通で、いい…」  言ったら、また笑う玲央。 「…普通って?」 「……っ…すごくなくていい、普通…で…」 「んー……」  クス、と笑った玲央が、ちゅ、と首筋に吸い付いて。  一瞬痛みが走る。 「――――…オレが優月にすんのに、普通とか、ないから」  クスクス笑った玲央に、両手首取られて、頭の横に押さえられて。  めちゃくちゃ深いキスが重なって。 「…泣くなら、気持ちよくなって、泣こうなー…?」  囁かれて。    またここから、やり直しなんだ…と。  ちょっと気が遠くなりながら。  見上げた玲央は。  全部、ほんとにカッコ良すぎて。  ドキドキと、早くなる鼓動に。  もう勝てる訳ないと、諦めて、瞳を、伏せた。    

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