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第156話◇

「っ……れお……このかっこ、やっぱり、やだ……」 「んー……少し我慢、な?」 「………うー……」  ………もう。  ……声だけは押し殺そう。  枕を抱えていた手を外して、両手で口を押えて。そのまま枕に埋まった。 「……優月、気持ちいいとこに触ったら、ちゃんと教えろよ?」 「……っ……?……」 「……中にあるから。すごく、きもちよくなれるとこ」 「……ん」  そんなとこあるのかな……。思いながらも。  一応、頷く。  背後で、また、ぱち、と蓋を開ける音がして。  とろんとした液体が垂らされて。冷たくて、ぴく、と震える。 「……息吸って…… 深呼吸、してろよ?」  言われるまま深呼吸、していたら。  中に、指の感触。 結構、深くまで。 「……ん、……んん……っ!」 「――――……大丈夫か?……」 「……ん……っ」  こく、と頷いてみる。  痛くは、ない。とりあえずは、大丈夫。  でも――――…… ものすごく、違和感。 「……っ………れ、お……っ」 「――――……うん?」 「っ……奥…… き、もちわる……」 「は。……気持ち良いって言ってほしいけど……」  玲央が、喉の奥でクッと笑う。 「……っ……っ」 「じゃあ――――……少し、中に、集中してて」 「……っ……」  指が中をなぞるように、ゆっくりと、動く。 「……ん……っ」  不意に、前に玲央の手が回って、オレのそれに触れる。 「……硬くはなってる…… ちょっとは気持ちいいか?」 「……わか、んない……――……っ……あ……!」  ぐり、と中を擦られて。不意に、ぞくんとした感覚が走って、体が震えた。体が急に熱くなって、玲央の手に包まれている自身も、一気に硬くなったのが分かった。 「……っあ……っ……玲央……っ」 「……ん?」 「……いまの……とこ ……」 「……素直だなー、お前……――――……分かってるよ、ここ、だろ?」  くす、と笑われて。  中の指に、ぐ、と刺激されて。  しびれるみたいな感覚に、びくん、と体が震える。 「……ッ……っん……」  中に入れられた指が、気持のいい箇所を、刺激してくる。 「……締めてごらん、力入れて」  ぐ、と力を入れて締めるけれど、すぐ力が抜けてしまう。 「もっかい」  ――――……もう一度締めるけど、同じ感じ。 「力入りそうなら、一旦締めてから力抜いて。その感覚、覚えて」 「……っ……」  なんか……前も言われた、ような……。  あんまり力入れない方がいいって、こと、だよね……。  うん、と頷く。 「――――……3本め、入るかな……」  そんな風に言われて。中の指が増える。  少し、苦しいけど――――…… 入った指が、中で、動いて。  気持ちイイところを、擦られる。 「……ん、あ……っ……」  口、押えてるのに、声が漏れてしまう。 「――――……気持ちいいならそう言えよ」 「……んっ、 ぁ…… そこ――――……」 「ここ?」 「っ……ん!」  声をあげたところを、執拗に、責められて。  ――――……涙がボロボロ零れて。枕に吸い込まれていく。 「っ……んっ……っ……ん、ん!」 「――――……優月……? 手、噛んでる?」 「……っ……」 「……優月?」  手首を掴まれて、そっと引かれて。そのまま、枕から顔を上げさせられる。  その拍子に、めちゃくちゃ泣いてる顔を見られて。 「――――……」  玲央が、びっくりした顔をして。それから。  ――――…… ふ、と、 瞳を細めて、笑った。 「もーお前……マジで――――……可愛い……」 「……っ……」  ドキン、と胸が震える。  なんで。  そんな、優しく、笑っちゃうんだろう……。 「……抜くよ?」  そう言って、玲央はゆっくり指を抜いて。  仰向けに転がされた上に、玲央が押しのってきて。  深く唇が、重なってきた。  ――――……大好き、玲央。  めちゃくちゃ恥ずかしい恰好も。  もう。……訳の分からない、とんでもない感覚も。   ……玲央なら、いいやと思えてしまう。    

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