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第158話◇
【side*玲央】
――――……全部後始末を終えて、優月を腕に抱いて、横になる。
触れても、拭いても、まったく目を覚まさなかった。
今も、ぐっすり眠ってる。
自分の方を向けて横向きに寝せて、向かい合うようにして。
優月の頭に触れて、そっと撫でる。
――――……ほんと、寝顔、可愛いな……。可愛すぎるな。
さっきまで、めちゃくちゃエロい顔で、泣いてたのに。
子供みたいな顔で、スヤスヤ寝てる。
――――……愛おしいとか。 柄じゃねえけど。
こんな気持ちの事なんじゃないかと、思ってしまう。
頭から頬を撫でて、唇を指でなぞる。
オレのマンションに住むか、とか。
――――……自分の言葉を、思い出す。
……何言ってんだ、オレ。マジで。
――――……何も考えずに出た言葉だったから、余計に、驚く。
ほんとに、そう思ったんだな、あの時。
一緒に暮らしてしまえば、毎日一緒に過ごせる、なんて。
……どんだけ、一緒に居たいんだ、オレ――――……。
そんな事を考えながら、優月の頭を撫でている間に、いつの間にか、眠っていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「………」
ふ、と目が覚めた。
腕の中に、優月が居ない。
目を開けると。
起き上がって、ベッドの端におりようとしている優月の背中が見える。
「――――……ゆづき……?」
「あ」
優月がくる、と振り返る。
「ごめん。やっぱり起こしちゃった…… トイレ、行きたくて……」
「……ん。――――……オレも水飲みに行く」
ゆっくり起き上がって、優月の隣に立つ。
廊下の電気をつけて、歩き出すと、優月がオレを見上げて、言った。
「ごめん、オレまた寝ちゃった……」
「――――……全然。つか、落ちるくらいまで毎日しつこくやってごめんて感じだけど……」
「……っ」
優月を見ながらそう言うと、案の定、毎日しつこくされてる事を、何かしら思い出すのか、かっと赤くなる。
――――……ふ、と笑んでしまう。
肩を抱いて、ちゅ、と、頬にキスすると、優月は、嬉しそうに、にこ、と笑う。
――――……なんでこんなに可愛いかな。
優月がトイレに入って、オレは冷蔵庫に向かう。水を2本持って、ソファに腰かけた。4時か。まだ窓から見える空は暗い。
「玲央……?」
「ん。こっち来いよ」
リビングに顔をのぞかせた優月を呼んで、隣に座った優月に水を渡す。
「ありがと……」
「ん…… まだ4時だけど…… 眠いか?」
「んー……でも結構ぐっすり寝た気はする」
隣の優月に手を伸ばして、頬に触れる。
引き寄せて、ちゅ、と唇にキスした。
「――――……あ。そうだ、優月」
「ん?」
「……土曜ライブがあるって言ったろ?」
「うん」
「お前、来たい?」
「え。いいの???」
……嬉しそうな、顔。
この顔見てると、こっちまで、ほんとに和む。
「あ。でも……何時?」
「19時から20時半」
「……20時まで用事があるんだよー……」
ふにゃふにゃ、という形容がぴったりな感じに眉を寄せた。
「あー……そうなのか」
まあ。しょうがねえけど……。
「行きたかった……」
「……何の用事?」
「ん、個展の受付。バイト……」
「あー……『そうくん』?」
「あ、そう……」
「ふーん……」
何だか少し、面白くない。
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