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第159話◇
「……仲いいのか?」
「――――……え?」
「……そいつ」
「……蒼くん?」
ん、と頷くと。
「仲いい? ……えーと……ほんとに、お兄ちゃん、て感じ……」
「――――……」
……お兄ちゃん、ね……。
「どんな顔?」
「……どんな顔……??」
優月は、んー……何て言ったらいいんだろ……??と呟きながら考えて。
「……イケメン……だそうだけど……」
ふふ、と笑いながらそう言う。
「何だそれ? だそうだけどって」
「だって蒼くん、自分で言うから」
あは、と苦笑いしてる優月。
――――……そういや モテそうだとか言ってたな、優月。
なんか、ますます面白くない。
「……玲央?」
「……ん?」
じっと、優月が見つめてくる。
「……もしかして、なんだけどさ」
「何?」
「……違うかな?…… 違ったら、ごめんね」
「……ん?」
優月は、どうしようかな、と迷ったような顔をしながら。
思い切ったように、見上げてきた。
「――――……ちょっと、ヤキモチ妬いてる?」
「――――……」
――――……は?
ヤキモチ――――……?
「……ってそんな訳ないか。ごめんね、なんか玲央が、仲良い?とか聞くから」
答えないでいたら、優月が勝手に、そんな風に話を進めている。
なんだか――――……。
少し、顔が、熱い。気がする。
「……れお??」
咄嗟に、優月から顔を背けて。口元を手で隠す。
不思議そうに、優月が呼びかけてくる。
「あれ……玲央、怒った?」
そんなこと言って、心配してくる。
あーもう――――……
振り返りざま、優月の後頭部に手を置いて引き寄せ、自分の腕の中に抱き込む。
「むぐ……」
めちゃくちゃ強く抱きしめたら。
変な声を出してる。
ぷ、と笑ってる内に、すぐ、収まった、けれど。
つーか。
少しとはいえ。 顔が熱くなる。とか。
……意味が、わかんねえし。
「玲央、なに……ちょっと、苦しい……」
「――――……」
腕の中でもがいてるのが可愛くて、くすくす笑ってしまいながら、少し離してやると、ちょっと困った顔で見上げてくる。
「……怒ったの?」
「――――……怒ってないっつーの」
「ほんと?」
「こんなんでお前に怒るわけないだろ」
「……じゃあなんで、つぶされたの、オレ」
ぶつぶつ言いながら、見上げてくるのが可愛くて。
ちゅ、とキスして、見つめていると。
少しして、まあいっかみたいな顔で、ほんわか笑う。
「――――……優月、もっかい寝とくか?」
頬に触れながらそう聞くと。
「んー……結構すっきりしちゃってるけど……」
「――――……ベッドで横になるか?」
オレがそう言うと、優月は、じいっと、見上げてくる。
「一緒に?」
「……当たり前だろ」
「……うん」
嬉しそうな笑顔の優月をぎゅ、と抱き締めて、キスして。
そのまま、優月を体の上にのせたまま、ソファにもたれる。
「……ぅ――――……ん……」
……あー。ほんと。
……可愛い。
くる、と反転させて、優月をソファに沈める。
「……ベッド、行くんじゃ、ないの?」
「行くけど――――……少し」
言いながら顔を近づけると、優月がゆっくりと、瞳を伏せる。
――――……ほんと、可愛すぎて、どうしようかな、優月……。
「……れお……――――……」
「……ん?」
「――――……大好き、すぎるんだけど……どーしよう……」
「――――……」
今、可愛くて、どうしようかと思ってたけど。
「――――……どうもしなくていいし。 好きでいろよ」
――――……ほんと、何もかも。
柄じゃねえよな……。
でも。
「……うん」
ふわ、と笑んだ優月。
柄じゃねえけど。
――――…… 優月に向かってる想いは、悪くはない、気がする。
その唇に、ちゅ、とキスした。
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