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第164話◇

【side*玲央】  「走ってく」って。  ――――……本当に走ってきそうだな……。  自然と顔の緩んでる自分に気付いて、少し引き締めて、ふぅ、と息をついた。 今日は、部室に誰も来ないらしく、今の所、1人だった。  まあ、この時間に来てるなら1限があるだろうし。1限のない奴はこの時間に来ないだろうし。……当然か。  つか、誰か来るとまた、何で居るのかという話から始まるから、居ない方が静かでいい。  さっき優月と一緒に買ってきたお茶を一口飲んで、テーブルに置く。 『オレ、このピーチティーがすごい好きなの』  と、あまりにウキウキしてるから、一緒に買った。  ――――……ピンク色のパッケージのお茶なんて、初めて買った。  甘くて、ちょっと笑ってしまう。  この甘いのを優月が好きなんだと思うと――――……。  ……なんか、可愛く感じるって、何なんだか。  優月を弄り倒して、腕の中に抱き締めて寝て。  また4時頃から、構って、キスしてたら、また優月が寝て。  で、自分も一緒に少し寝て、一緒に朝食を取って、出てきた。  ――――……つか、今週オレ、なんか。  ……ほんとに、健康的な気がする。  ……朝が早すぎる。  今日は、最後の練習か。  ……遅いから、優月待たせるのもな……。  でもそうすると、今日も明日も、一緒に居れないかも、か。  そこまで考えて。 「――――……」  自分の思考に気付いて、数秒止まる。  優月優月優月って――――……。  我ながら、かなり、意味が分からない。  四六時中誰かと居たいとか。  ――――……ありえないと思っていたのに。  明日――――……打ち上げから、だと、「そうくん」と来るのか。  またなんだかものすごく、モヤモヤする。  その時、ふ、と突然、別の事が気になった。  ――――……打ち上げって、そういやいつも、周りに色んな奴が寄ってくんだよな……。大体そん中から誰か選んで持ち帰る感じにしてたから、だから余計、そういう意味で側に来る。  ライブの後って大体気分が盛り上がってるのもあって、興奮してるというのか。特にやらしそうな奴を選んだりしてたっけ。  ――――……あ? そこに優月が来ンのか?  ……つか、ありえねえな。  何でオレ全然考えずに、その話、優月としてた?  顔が険しくなってるのに、気づくが、戻せない。    玲央、ハーレム過ぎ。とか、勇紀が良く言う。  甲斐は笑ってるが、颯也は、すげえ呆れてる。  でも別に今まではそれで良かった。 「――――……」  とりあえず、颯也と勇紀を、オレの隣に置いとくか。  甲斐は甲斐で、イイ女探すから、あいつは少し離しておいて……。  とか。  ――――……オレは今一体、何を考えてるんだろう。  思わずため息をつきながら、頭を抱えた。  今までやってきた事のツケが回ってきてる気が、する。  そういう関係ある奴が多いとこに、のほほんとした優月を近づけるのもどうかと思うし。――――……もしライブを見てくれたら、帰ってもらった方が良いのか?  あそこで優月と話しが合うのなんて、勇紀くらいじゃないだろうか。  オレの側にずっと居させてもいいと思ってたけど、それはそれで、ちょっとヤバいか……。  ……つか。  オレ、これ、優月に何て言うんだ?  ――――……知ってるといえば知ってる事だけど。  まわりに関係した事のある奴がいっぱい居るから、  ……あんまり側に居るなって??  ……ねえな。

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