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第173話

 玲央んちの玄関に入って、靴を脱いだ玲央の後について上がると、荷物を受け取って下に置いてくれた。  すぐに、ぎゅ、と抱き締められた。 「……玲央、ど、したの?」 「優月……」  名を呼ばれて、ものすごいむぎゅー、と抱き込まれる。 「……はー……すげー、抱き締めたくて……優月……」 「……っ……」  一瞬で真っ赤になったオレを見て。  玲央は、くす、と笑った。 「――――……可愛いな」  ………な、何なの。 玲央……。  ふわ、と、急に、体温が上がるような、気分。  ていうか、可愛いの、オレじゃないし。  ……玲央だし。  何なのかな、その甘ったるい、声。 「……キス、していい?」 「玲央……」  胸がときめいてどうしようもなくて。  目の前の形の良い唇に、自分からそっとキスした。 「聞かないでよ……オレ絶対、嫌って言わな――――」  言葉の途中で、深く唇を塞がれた。  息もつけない位、激しくキスされる。   「……っん、ん……っ」  う、わ……なんか……すごい、激し……。 「……ん……っふ……」  ――――……一生懸命ついていってる間に、  いつの間にか、壁に背を押し付けられて。  めちゃくちゃ深くキスされる。  息がちゃんと出来なくて、早くも空気が足りなくて。  くらくらしてくる。  玲央の指が頬をなぞって、首筋に触れる。  舌が吸われて、びくん、と体が震えた。 「……っん……ふ……」  始めたばかりなのに、急に玲央だけの世界に落とされたみたいな感覚。  ドクンドクンいってる心臓がうるさくて。漏れる息が、熱くて。 「……っれ、お……」 「優月――――……」 「……っぁ……」  かく、と脚の力が抜けて、玲央の体で支えられた。  だめ、なんかもう――――……。  脚の間に入った玲央の脚と壁に支えられて、何だか、浮いてるみたいな感じで、玲央のキスを受ける。 「――――……優月……オレの事、好き?」 「……っ」  真っ白な頭の中で、何を聞かれたのか、少しの間、考える。  ……玲央の事、好き?  もう触れてしまいそうな位、近くで。  玲央がオレを見つめてて。  じっと見つめ返して。 「……大好き……」  涙が、潤む。  キスが激しすぎるせいか。  目の前のこの人が、愛しすぎるせいか。  ……分かんないけど。 「……オレも――――……お前が好き」  また唇が塞がれて。  何だかやたら、丁寧に、キスされる。  舌を優しく絡められて。 「――――……ん……んん……」  今度は激しくないけど。ゾクゾクしすぎて。  ――――……体が、震える。   「れ、お……んん――――……も…」 「……ン?」 「あし、が……」 「立ってられない?」 「……っ……」  うんうん、と頷くと。  もう何度目だろう、また、ひょい、と抱えられて、運ばれて。  寝室のベッドに、座らされた。  こんな、お昼時間に――――……何でこんなとこで……。  頭の隅で思うけど。  玲央に、触れてほしくて。 触れたくて。  なんかもう――――……。 「…っ玲央、キス、したい……」 「――――……」  玲央の腕に触れて、そう言ったら。  オレを組み敷こうとしてた玲央が一瞬止まって。  ふ、と笑った。 「――――……かぁわいい、お前……」  そっと押し乗ってきた玲央に、ちゅ、と、触れるだけのキスを一度されて。   見つめられてそのまま、深く、口づけられる。  少しも後ろに引けない状態でのキスは、めいっぱい深くて。 「……ん、ふ……っ……」  涙目を薄く開けると、絡んだ玲央の視線が、やたら熱を帯びてて。  ぞくん、と背筋が震える。  玲央の瞳、見ただけで、反応するって。  ――――……ほんと、やばいんだけど……。  あっという間に、頭に靄がかかって。  気持ち良い、と、玲央が好き、しか、無くなる。   「……っ……んっ……」  玲央の背中に、ぎゅ、と、しがみつく。 「……優月、ごめん――――……触っていい?」  唇の間で囁かれて。  うん、と頷く。  触っていいっていうか――――……もう、触って、欲しい。  キスされて、玲央の手がシャツの中に滑って、肌に触れてくる。  気付くと、ベルトも外されてて。  頭、真っ白なまま。  玲央の触れてくる手が、気持ち良すぎて。  声も、我慢できなくなって。 「……んん、ぁ…っあっ…」  気が遠くなって、自分が達したのが分かる。 「……っん、ぅ……っ」  また、深くキスされて。  玲央の手が、それにまた絡まる。 「……っ? ……や……っ……んん、や…」  一応、抵抗したけど、全然用を為さなくて。  ……信じられない。 続けて、なんて。 「……っふ……ぁ」  めちゃくちゃ、体が、震える。  もう、なんか、玲央がどこ触っても。気持ちいい気がして。 「……んん、ふ――――……っ」  声、全然、抑えられない。 「ふー……………時間ねーな……」 「…………っ…」  その言葉に。     あ、一応、授業、戻る気有るんだ……。  そう思ったら少し、可笑しくて。  苦しい息の中、苦笑い。  ていうか……。  オレこれで戻って、授業、まともに受けれるかな……。  なんて思ってたら。  玲央が、オレの腰に手を置いた。 「――――……ごめんな、優月、股貸して」 「……っ……」  あ、またあの、恥ずかしいの、するんだ……。  腰、上げさせられても拒む事はせず。玲央のがそこにあてがわれる。  瞬間。  ふっと、思った。 「――――……っ……玲央……待って」  振り返って、玲央を見上げる。 「……れお、あの……」 「ん?」 「――――……っっ」  何て言うんだ。  これ――――……。  何て言えば――――……。 「どした、優月?――――あ、嫌?」 「……あの……」 「いーよ、嫌なら手でする」 「…………今度って……」 「ん?」 「……今度……する、て」 「今度するって? 何を?」 「玲央、今度は――――……中、するって……」 「中、する? ――――……あ」  やっと、分かってくれたみたいで。  玲央が背後で固まってる。  少しの沈黙の後。 「……されたいの? 優月」  玲央がそう聞いた。  聞かれると恥ずかしいけど。 「だって――――……今度って、玲央が……」 「オレが言ったって話なら、また今度で良い」 「――――……」 「優月は、今、されたいの?」 「……っ……うん」 「――――……」 「だって……玲央とまだ……できてない、から……」  最後まで――――……したくて。   「――――……いーよ。少しだけ……してみる?」 「すこ、し……?」 「……全開でやったら、もうお前、動けなくなると思うから、少しだけ」 「――――……」 「……オレと、体、繋げてみる?」 「――――……」  優しい瞳に、ふ、と笑まれて。  玲央の言葉に、オレは、少し言葉に詰まった後。  声は出せずに、頷いた。  

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