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第175話◇
震えが落ち着いてきた頃。
体をくる、と反転させられて。
真正面でぎゅ、と抱き込まれた。
「……優月」
髪を撫でるついでに、首筋に触れてくる指にすら、まだゾクゾクする。
なんか。
中、まだ――――…… 疼く、というか……。
……もっと…… 中に、居てほしかった、というか。
そんなとんでもない欲求に、自分ではっと気づいて、驚く。
……わー、バカバカ、オレ。
何言ってんだー。
……ああ、ヤバい。
中に受け入れても、全然痛くなかったし。
……気持ちいいしか無かったし。
玲央をやっと受け入れられて、すごく嬉しい。……というか。
まだ全然、あれって、途中、なのかもしれないけど。
でも――――……。
とにかく、今、嬉しいしか、無い。
「……可愛いなー、優月」
囁かれて、何とか瞳を開けて、見上げると。
まっすぐ見つめてくれる玲央がすごく色っぽくて。どきん、と胸が大きく弾む。
もう、何で、こんな、カッコよくて、色っぽいのかな。
ズルい……。そんなんで、可愛いとか囁いちゃうとかさ……。
どうしよう、すごく、愛しすぎて。
抱き締めてくれてる玲央の服を、ぎゅ、と握り締める。
少し抱き合った後。
このまま待っててと言われて、玲央が部屋を出て行った。
起き上がって、乱れたシャツの前を合わせていると、
玲央がすぐにタオルを持って帰ってきた。
色々拭いたり、後始末をしてくれてる玲央に、「ごめんね」と言うと。
「これ最近毎晩やってるし」と、玲央はクスクス笑う。
……た、確かに。いつもしてくれてるよね……。
オレ、寝ちゃうから……。
「……ますますごめんね」
と言ったら、全然いいよ、と、玲央がすごく可笑しそうに笑う。
「あー、ちょっと…ていうか結構、遅刻だなー……ごめんな」
オレの乱れた服を整えてから、時計を見ながら玲央がそう言う。
「ううん……オレが……」
最後、して、とか。
言ったから。余計時間かかったし……。
玲央が、くしゃくしゃとオレの髪の毛を撫でた。
タオルをまとめて持ったまま、玲央がベッドの端に腰かけた。
じっと視線を合わせられて、見つめあう。
「……優月、あのな」
「ん……?」
まっすぐに、玲央の綺麗な瞳が見つめてくる。
ああ。ほんとに綺麗だな。
まっすぐな、瞳。
「オレがお前に、めちゃくちゃ惚れてるって、覚えといて」
「――――……………………」
……ん?
……ん? 今、なんか。
……………………惚れてる???
……て言った?
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