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第176話◇

「……惚れてる……て、言った?」  そう聞いたら。  玲央が、ふ、と笑った。 「言った」  そう言うと、クスクス笑い出して、よしよしと頭を撫でてくる。 「覚えといてな?」  笑いながら、ちゅ、と、キスしてくる。 「惚れてるって……好きって、こと?」 「……んー。好きよりももっと?――――……惚れてるってこと」  ……惚れてる?  惚れてる……ってどういう意味?  惚れてるって、好きって事だよね? ……違うの?   ただ好きじゃなくて、惚れてる。  玲央は、そこどう区別してるのかな……。 「――――……分かんねえ?」 「……ん。ごめん」 「オレも、まだよく分かんねえんだけど」 「……うん」 「ただ、今、好きなだけじゃなくて。……ずっと、オレと居てほしいって思う」 「……ずっと?」 「ん。……期限なくずっと」 「――――……」  期限なく、ずっと????   「……つか。分かんねえよな……」 「――――……ごめん」  オレ頭バカになっちゃったのかな。  こんなにまっすぐ見つめながら、一生懸命言ってくれてるのに、何だか全然分からない。 「優月が、オレと居たいと思ってくれてる限り、ずっと」 「――――…………」 「……て言い方なら、分かるか?」 「……それ、オレ基準で、考えるの?」  玲央が居たいと思ってくれている限り、じゃなくて?  そう思って、思わず、首を傾げてしまう。 「オレはきっとずっと居たいから」 「――――……」  ますます、分からなくなってきた。  でも、一緒に居たいと、思ってくれてるのだけは、何となく、伝わってくる。だけど……。  ずっと……?  玲央と居られるのは、今だけ、ちょっとの間。  長くても、学生の今だけの。ちょっとの……。  …………心の底で思ってた、何となくの、玲央との期限。  玲央と居る時間に、「ずっと」という言葉は、  ――――……きっと、あてはまらないと思ってて。  だから余計にオレ、  今一緒に居れる限り、一緒に居たいって思ってる気がするし。  なのに、ずっとって。 玲央が、言うの?   オレが、居たい限りずっと……居てくれるって……。 「玲央、どうしよ、オレ、なんか全然……」  すごく困って、もう素直にそう言った。  そしたら、玲央は、ふ、と息を付いて。 「……だから……んー。そこ細かく詰めんのは、もう少し後でもいいか?」 「――――……」 「オレまだセフレの状態の奴が居るし。……お前も、オレと会って間もないってよく言うし。まあ確かにまだ、1週間、だし――――……」 「――――……」 「今色々言っても、多分優月、信じられないと思うし。オレもまだ色々中途半端すぎて……時間がちょっと欲しい、かも」  じっと、玲央を見つめる。 「ただ色んなめんどくさい事抜きにすれば。オレは、お前に惚れてるんだと思う」 「……玲央……」 「こんな風に思うの初めてだから……正直、自分でも驚くんだけど……」 「――――……」  じっと見つめていると。  玲央はまた、ゆっくりと、唇を重ねてきた。 「お前のその瞳が好き」 「――――……っ」 「ずっとオレの事見ててほしいとか、思ってる」 「――――……」 「色んな事が片付いて、お互い納得できるまで、そばで待ってろよな?」 「――――……」  なんかもう。  全部、よく分からないけれど。  ……玲央が、オレを好きだと思うって、伝えてくれてるのは、分かる。  大好きすぎて、まずいなーと……。  何回、思わされちゃうんだろうか。

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