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第178話◇

【side*玲央】  優月に惚れてるのかと考えて。  3人にあんな風に返されて、少し葛藤。でも結局、だよな、と思った。  ――――……惚れてるんだと思ったら。  抱き締めたくてたまらなくなった。    マンションに連れ込んで抱き締めて、キスして――――……。  昼休みに、一体何してんだか。  ――――……優月と居ると、ヤバい。   気持ちいい事は好きだし。  そういう対象になる好みのタイプの奴となら、誰としても、わりと気持ち良いし。そう思ってたのに。  優月を相手にしてると、興奮しすぎてヤバい。  「中、する」とか。  最初何言ってるか分かんなかった。言葉が足りな過ぎて。  ……可愛すぎ。  慣れてきてはいたのか、痛がらずに、気持ちよさそうにしてるのが可愛くて。あれ以上するのを堪えるのに、もう全理性を総動員。  ――――……可愛すぎて。  ヤバかったな……。  今すぐもう一度家に連れ込んで、思い切り抱きたい。  ……と思いながらも、仕方なく優月と別れて、授業に来たけど。  もう授業は始まって、教授の声がする。教室に滑り込んで、後ろの方に固まってる奴らの隣に滑り込む。  何人かに小声で声をかけられる。 「おーす、玲央」 「元気?」 「ああ。出席取った?」 「まだ。 今日とんねーかもな」 「そっか……」    ――――……優月は間に合ったかな。  そんな事を思っていたら、隣の奴に話しかけられた。 「玲央、先週これ居なかったよな? 練習だっけ?」 「ん、そー。そこの時間取れなかったって。あ、悪い。|稔《みのる》、ノート見せて」  |西野 稔《にしの みのる》も、幼稚園から一緒で、バンドメンバー以外では一番よく話す。勉強とかはマジメな奴なので、ノートを借りるには最適。 「ん、いーよ。写真撮っといて後で写せよ」 「サンキュー」  スマホを出して、差し出してくれた稔のノートにピントを合わせていると。 「なあ、玲央さー」 「ん?」 「なんか見慣れない奴と最近一緒に居ない?」 「――――……」  ……優月の事か? 「なんか…こないだも今朝も見かけたんだけど」  朝なら優月だな。 「ていうか、今朝は玲央が朝居るのが珍しくて、二度見しちゃったんだけど。……なんか大人しそうな奴と居るよな?」 「……大人しそうに見えるか?」 「え、違うの? なんか玲央が一緒に居るタイプじゃなくねえ?」  写真を撮り終えて、ノートを稔に返す。 「ありがとな」 「ん」  ……まあ。  タイプで言ったら違うかも。 「…あいつさー…すげえ可愛いンだよなー……」 「……え???」  稔が、物凄いびっくりした顔で、オレを見てくる。 「今度見かけたら、よく見てみろよ。可愛いから」 「――――…あ、ああ……ん?男じゃなかった?」 「稔、オレが男も平気なの知ってるだろ」 「いや、知ってるけど……それにしても、普通の奴じゃなかった?お前の相手の男って、すげー派手な顔っつーか、キレイっつーか……」 「まあ……確かに、そうだったんだけど……」 「普通の奴も対象になるの?」 「あ、お前はなんねーから」 「んな事聞いてねーわ」  呆れたように言う稔に、視線を流しつつ。 「あいつ、普通じゃないから」 「えー? 見た感じ、すげえ普通だったようなー……?」 「すげー可愛くて、ヤバいんだよなー……」 「…………っいやいや、お前がヤバいわ。玲央のノロケとか、恐ろしいし」  どん引きしてる稔に、苦笑い。 「……はは。そーだな。ヤバいよなー。まあオレもそう思うかも」  肘をついて、顎をのせる。  ……でも、マジで、可愛いんだけど。

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