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第181話◇

 ものすごい、遠慮なく、見られるし。  何の罰ゲームなのか……。 「んー、可愛いといえば可愛いか。でも玲央の好みとは全然……っとごめん」  あまりに素直な感想を述べかけて、何だか妙な気を使ってあわあわしてる西野君。向こうが慌て出したら、おかげでちょっと、落ち着いた。 「……あの」 「え?」 「オレ、玲央に最初に好みのタイプじゃないって言われてるから、別に謝ってくれなくても、大丈夫だよ?」 「何だそれ、優月ー」 「だって、玲央、最初に言ったんだもん、好みのタイプじゃないんだけどって」 「お前……それでよく、あいつについてったな」  クスクス智也に笑われて、そうだね、と苦笑い。 「でも玲央に最初に会った時に、オレがすごい好みとか言われても信じられないから、むしろ良かったのかも……?」 「そういうもの? よく分かんねえけど」  智也が面白そうにクスクス笑う。  ものすごい見つめてきてた西野君が、ぷ、と笑ってから、楽しそうに話し始めた。 「そういえば、優月って名前がぴったりって言ってたよ、玲央」 「え?名前?」 「優しい感じって」 「――――…………」  何度か瞬きをした後。  かあああああああ……。  せ……せっかく、熱引いたのに。  玲央って、オレの事、友達にそんな色々話してるの???  なにそれ、名前ぴったりって。聞いたこと、ないし。  あーあー、とまた扇ぎ出した智也に、だ、大丈夫、と頬を抑えてると。  西野君は、楽しそうに笑って、それからじっと見つめてきた。 「すっげえ面白いんだけど。なあなあ、今度勇紀達とオレと一緒に飯食べようぜ? あ、村澤も来て良いよ、勿論玲央は抜きで――――……あ゛」  ものすごく楽しそうに話していた西野君が、やべ、といった顔で、急に視線を逸らした。 「?」  不思議に思った瞬間。  後ろから。 「つか、稔―――……」  あ、この声。  振り返ると、案の定、玲央が立っていた。 「……何でもう、喋ってんだよ。しかも何言ってんだ、お前……」  かなり冷たい視線で西野君を見た後、玲央がふとオレを見つめてくる。 「何でこんな真っ赤なの、お前。……大丈夫か?」  ふ、と優しく笑った後、手で少し頬に触れる。 「熱すぎ……」  クスクス笑って、すり、と撫でてから離す。  その手を離してから、西野君の方に体を向けた。  ………………っ。  ますます温度、上がっちゃうんだけど……! もう……!!  オレが1人で苦しんでるのに気づかず、玲央は西野君に向けて、至って普通に話し始める。 「つかお前、何言った?」 「いやいやオレは……あははー。玲央が可愛い可愛いって言ってたって」  その言葉に玲央は、ふ、と息を付く。 「何でこいつが優月だって分かった?顔覚えてた?」 「あ、それは、オレが、優月って呼んだからだって」  智也が脇から説明すると、ああそういう事か、と頷く玲央。  オレはといえば。  ……何で玲央は、こう、友達とか、人が居ても、さらっと、オレの顔に触ったり、優しく笑ったり、しちゃうのかな? 前だって頭撫でたりさ。  玲央って外人さん?  あ、帰国子女とか? 何なの?  キスしたりも自然だしスキンシップが……。ん、でも幼稚園からの幼馴染とか言ってるから、日本に居たのか……もうなんなんだー。  と、1人で黙々と色々考えてた。そしたら。 「優月?どした?」  振り返った玲央が、ん?とのぞき込んでくる。 「……何でもない」 「ん?」 「……っ平気だから、触んないで」 「何だよそれ?」  ちょっと玲央がムッとする。 「もっと赤くなるから、やめてってば」 「……なにそれ」  途端にクス、と笑った玲央に、またぶに、と頬をつままれる。 「ますます触りたくなるし」 「だから……」  両頬摘ままれて、クスクス笑われる。  あーもう好きにして、と細い目になっていると。  ふと気づくと、西野君がものすごい険しい顔をして不意に言った。 「……早く帰ろうぜ、村澤」 「ん??」 「これから、大吹雪になるから。村澤も早く帰った方がいいぜ」 「あー……。おー、そうだな……」 「……つか、大吹雪と竜巻と落雷と……あとなんだ? 全部来ると思うわ」  西野君の言葉に、智也は面白そうに笑って頷いてる。  玲央は、若干不愉快そうに黙ってる。  ……なんか、勇紀も同じような事、言ってたような……。  面白いなー…………。  頬から手は離されたけど、なんだかすごく近くに居る玲央を見上げながら、そう思った。 ◇ ◇ ◇ ◇ 息抜きみたいなシーンがなんか 長くなってすみません…(^-^; なんか楽しくて…(笑

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