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第199話

「1週間前のオレに、今のオレの気持ち伝える事が出来たとしたらさ」 「…………」 「絶対ぇ信じないと思う……」  玲央が、そんな事を言いながら、クスクス笑う。 「オレがこんな風に思うとか。しかも1週間前に会ったばかりの奴と、とか、絶対ありえねえって思うだろうからさ」 「――――……オレも。1週間前のオレは、絶対信じないと思うよ」  ふと振り返って、玲央と視線が合うと。  2人で、笑ってしまう。 「――――……変だよね……」 「ん。…そーだな。…変だよな」  玲央に体をくるん、と反転させられて。  真正面から抱き寄せられてしまった。 「――――……っ」  ほんとこれ。  ……恥ずかしい。 「――――……優月はさあ」 「……ん……?」  玲央の太腿跨いでる形で。玲央を少し見下ろすみたいな。  ――――……ベッドの上でも、何回か、したけど。  ………うぅー。  玲央が、色気ありすぎて。見上げられると、困るんだよう。  見下ろすの、ドキドキしすぎて。    しかも、顔が近すぎて。  その瞳に、ほんとに吸い込まれそうな気がしてしまう。 「会って、1週間しか経ってないのにって、思ってる?」 「――――………ん?」  もう心臓がバクバクしすぎてるところに、良く分からない質問。  思わず首を傾げた。  どういう意味?  1週間しか経ってないのに、玲央とこんな風になってて、ってこと? 「んーと……うん。まあ… ほんの1週間前とは全然違うって、思う…」  じい、っと見つめられて、そう答えると。 「まだ1週間しか経ってねえし、会ったばかりだから、何でこんな風になってるんだろうって、最初思ってたんだけどさ……」 「うん……」 「オレ、多分、何年居ても、ならねえ奴はこうならないって思って」 「――――……」 「お前だから、こんなになったんだと思うんだよな。……たった1週間で、よくここまでオレん中、どんどん入ってきたよな―って……」 「――――……」 「ほんと、お前、不思議」 「……良い意味?」  玲央が微笑んでくれてるので、もう分かっていたけれど。  聞いてみたら。 「当たり前」  もっと、優しく笑ってくれるから。  ほんとに嬉しくて。 「――――……」  玲央の頬に、ちゅ、とキスしたら。  玲央が一瞬下からマジマジとオレを見つめて。 「――――……今更、ほっぺのキスだけとか……」 「え?」 「……逆に恥ずかしくねえか?」 「…………っ」  そんな風に言われると、急に恥ずかしいし。  もともとホカホカ温まってるのに、余計顔が熱くなる。  くす、と笑った玲央に、唇にキスされて。 「んー。今日は我慢かー…。ほんとは今日の昼の続き、ベッドでめちゃくちゃしたいんだけどなあ……」 「――――……っ」  また急に、恥ずかしいこと言ってるし……。  ……でも。 「……オレも……して、ほしい……けど」 「――――……」  え、と言う顔で、玲央がオレを見上げてくる。  ……言う所迄は、頑張って少し耐えたのに、思い切りマジマジ見られて、耐えられず。また真っ赤になってしまった。 「そ、んなに見なくても……っ」 「何、優月、して欲しいの?」  頬を両手で挟まれて、まっすぐ向かい合わされる。 「……っ……だって」 「だって?」 「…………好きだし……」 「オレと、すんのが? オレが?」 「…………」  玲央とするのも。  ……玲央も。  全部、好きだし。 「……どっちも好き」  頷くと。  玲央が、めちゃくちゃ嬉しそうに笑う。  ちゅ、と額にキスされて。頬にキスされて。 「――――……は。お前ほんと、可愛いな」  まっすぐに見つめられて、囁かれて。  また完全に、オレは、固まってしまった。  ……玲央はオレを赤くさせるのと、固まらせるのの、天才だと、  思うんだよね……。  唇に重なるキスに、瞳を伏せながら。  そんな風に思った。

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