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第224話◇

 玲央はオレを好きだって言ってくれてる。  オレも玲央が好き過ぎて、もう離れるとか、自分からはどうにもできない。  玲央が今まで、セフレとは言っても、結構長い期間会ってきた人達が、その関係に終わりを告げられたとしても。  ――――……蒼くん達が言うように、そういう事は、別に、セフレだって恋人だって、普通にある、事なんだろうし。  しかも、玲央は、オレに信じさせてくれるために。  オレと、向き合ってくれる、ために、それをしてくれようとしてる訳だから、喜べばいいのかも、しれないんだけど。  なんか。  ……どうしてオレ、自分が玲央に、それを言われる時の事、  想像、しちゃうんだろう。  ……余計な事だって、分かってるのに。  蒼くんと勇紀にすら、このよく分からない気持ちをうまく話せる気がしなくて。少し、黙っていた時。 「――――……?」  ふ、と気付くと。  隣に、可愛い顔をした女の子が、ニコニコしながら、立っていた。 「……?」  あ。勇紀の知り合いかな?  と思って、勇紀を振り返ろうとした時。 「どうも。優月くん?」  その子が、にっこり笑う。え、と首を傾げると。こっそりと、オレの耳元で、囁いた。 「玲央を落とした子と話したくて。一応、玲央には話しかける許可はもらったよ。あたし、雪奈。よろしくね?」  そう言いながら、びっくりしてるオレの隣に、すとん、と座った。 「あ、うん。よろしく、雪奈、ちゃん?」 「うん」  オレを見つめて、くす、と笑う。  あ。この子、さっき、玲央の横で話してた子か。  ――――……何かお願いした子ってことだよね。 「あ。雪ちゃんじゃん」  後ろから勇紀が、雪奈ちゃんに話しかける。 「あ、何? 優月と話しに来たの?」 「一応許可はもらったよ」 「あ、玲央の?」 「うん。変なこと言うなよ、だって」  クスクス笑った彼女に、勇紀も笑う。 「玲央の変わり身、面白いでしょ」 「うん、相当面白い。で、その理由が、優月くんなんでしょ?」  くす、と笑って、またオレを見つめる。 「会って1週間なんでしょう? それで、玲央に片思いとか言わせるって。すごすぎ」 「――――……え?」  意外すぎる言葉に、ぽかん、と雪奈ちゃんを見つめてしまう。 「あれ? 何? ……あたし、変なこと言った??」 「え、だって。片思いって……??」 「……玲央が、まだ片思いみたいなもんだって、言ってたから」 「――――……」 「玲央が誘って、ずっと一緒に居てもらって、めちゃくちゃ迫ってるところ、て。言ってた」 「ああ、さっきこっちでも言ってた。 まだ片思いみたいなもんだしって」  雪奈ちゃんと、勇紀の言葉に、何と言っていいか分からなくて。  その言葉が頭の中を、クルクル回ってる。  片思い????  玲央が????  ……そんな訳、ないし。  オレの方が、絶対、玲央の事、好きだし。  思い浮かべるだけで、こんなにふわふわ嬉しくなって、大好きって思う人、生まれて初めてで。  ――――……片思い??

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