223 / 856
第224話◇
玲央はオレを好きだって言ってくれてる。
オレも玲央が好き過ぎて、もう離れるとか、自分からはどうにもできない。
玲央が今まで、セフレとは言っても、結構長い期間会ってきた人達が、その関係に終わりを告げられたとしても。
――――……蒼くん達が言うように、そういう事は、別に、セフレだって恋人だって、普通にある、事なんだろうし。
しかも、玲央は、オレに信じさせてくれるために。
オレと、向き合ってくれる、ために、それをしてくれようとしてる訳だから、喜べばいいのかも、しれないんだけど。
なんか。
……どうしてオレ、自分が玲央に、それを言われる時の事、
想像、しちゃうんだろう。
……余計な事だって、分かってるのに。
蒼くんと勇紀にすら、このよく分からない気持ちをうまく話せる気がしなくて。少し、黙っていた時。
「――――……?」
ふ、と気付くと。
隣に、可愛い顔をした女の子が、ニコニコしながら、立っていた。
「……?」
あ。勇紀の知り合いかな?
と思って、勇紀を振り返ろうとした時。
「どうも。優月くん?」
その子が、にっこり笑う。え、と首を傾げると。こっそりと、オレの耳元で、囁いた。
「玲央を落とした子と話したくて。一応、玲央には話しかける許可はもらったよ。あたし、雪奈。よろしくね?」
そう言いながら、びっくりしてるオレの隣に、すとん、と座った。
「あ、うん。よろしく、雪奈、ちゃん?」
「うん」
オレを見つめて、くす、と笑う。
あ。この子、さっき、玲央の横で話してた子か。
――――……何かお願いした子ってことだよね。
「あ。雪ちゃんじゃん」
後ろから勇紀が、雪奈ちゃんに話しかける。
「あ、何? 優月と話しに来たの?」
「一応許可はもらったよ」
「あ、玲央の?」
「うん。変なこと言うなよ、だって」
クスクス笑った彼女に、勇紀も笑う。
「玲央の変わり身、面白いでしょ」
「うん、相当面白い。で、その理由が、優月くんなんでしょ?」
くす、と笑って、またオレを見つめる。
「会って1週間なんでしょう? それで、玲央に片思いとか言わせるって。すごすぎ」
「――――……え?」
意外すぎる言葉に、ぽかん、と雪奈ちゃんを見つめてしまう。
「あれ? 何? ……あたし、変なこと言った??」
「え、だって。片思いって……??」
「……玲央が、まだ片思いみたいなもんだって、言ってたから」
「――――……」
「玲央が誘って、ずっと一緒に居てもらって、めちゃくちゃ迫ってるところ、て。言ってた」
「ああ、さっきこっちでも言ってた。 まだ片思いみたいなもんだしって」
雪奈ちゃんと、勇紀の言葉に、何と言っていいか分からなくて。
その言葉が頭の中を、クルクル回ってる。
片思い????
玲央が????
……そんな訳、ないし。
オレの方が、絶対、玲央の事、好きだし。
思い浮かべるだけで、こんなにふわふわ嬉しくなって、大好きって思う人、生まれて初めてで。
――――……片思い??
ともだちにシェアしよう!