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第225話◇

「んと……どうして、玲央が片思い……?」 「えーと……まだ信じてもらえてないから、まずそこがスタートだって言ってた、ような……」 「――――……」  オレ。さっき。オレの目の前の玲央は信じてるって。  そう、玲央に話そうって思ってたのに。  信じてる。のに。  セフレを全部、終わりに、しようとしてる玲央を見てると。  その人達の気持を想像しちゃうし。  ――――……オレもいつか、そうやって、終わりになる、のかなあって、ちょっと怖くなる、ような。  ……そんな気持ちになるのって。  ――――……信じてないって、事に、なっちゃうのかなあ……。  オレが玲央を、信じてるって言えないから。  玲央は、オレに、片思いって事に、なっちゃうの……?  ――――……でも。  オレは、絶対、玲央の事が、大好きで。  すごくすごく、好きで。  他の人が玲央と別れなければいけないって、その気持ちを想像するだけで、辛いだろうなって泣きたくなっちゃうくらい、玲央の事が、大好きで。  だから、玲央の片思い、とかじゃ絶対、無くて――――……。  だめだ、頭、ぐるぐるしてて、なんか、まともに考えられない。  とにかく、オレは、玲央の事が大好きなのは絶対なんだけど……。 「ごめん、あたし、余計なこと言った?」  雪奈ちゃんが、勇紀にこそ、と聞いてる。  オレは、あ、ごめんね、と雪奈ちゃんに視線を向けた。 「玲央がオレに片思い、とか言われると……なんか、違うかなって思っちゃって……」    それ以上の言葉が出なくて、黙っていると。 「んーと……まあ、あたしが情報流す時に、片思いの方が良いって事なんだとも思うんだけどね。でも、実際、全部玲央が誘ってるから、みたいな事言ってたから」 「――――……」  ……誘ってくれてるのは、確かにいつも玲央だけど。  でも、だってオレ、最初はセフレでもいいって言ってたから、玲央の気が向いたらって思ってて。だから、オレから誘うって選択肢、なかったし。  セフレは無しって玲央に言われてからも、玲央がいつも先に、この後どうするかって話してくれてたから、確かにオレからは、誘ってない、かもしれないけど――――……。 「ねね、優月くんはさ、玲央の事、ちゃんと、信じてる?」 「……うん。オレと居てくれた玲央の事は、信じてると思う……」 「んー、じゃあ何を信じてないの??」 「――――……」 「優月くんと居た玲央の事は信じてるけど、他は信じてないっていう言い方だから。 何を信じられないの?」  めちゃくちゃはっきりと、聞かれると。  すごく、困る。  オレと。  接してる玲央を信じてる。  大好きだし。信じたいし。  ……なんだろう。  ――――……ほんと。なんだろう。  そう考えてたら、あ、と思った。  ふと気づくと、そういうことなのかなー、と納得して。  話そうかどうしようかと、雪奈ちゃんを見ると。  ん?と、オレが話すのを待っててくれているので。 「……今、思ったんだけどね」 「うん」 「……オレ、玲央じゃなくて、自分の事が信じられないのかも……」 「自分?」 「うん。玲央がこの先ずっと、オレを好きでいてくれるとか、そんな事、あるかなあって……自信が、無いだけなのかも」 「――――……うーん…? どうして??」  ちょっと納得できてなさそうな、雪奈ちゃんに。  思う事を続けてみる。  「だって玲央、優しいし、カッコいいし。ライブもすごかったし。これから先もずっとモテるんだろうなーと思ってて……玲央とそうなりたい人がいっぱい居るのに、ずっとオレと居てくれるってあるのかなあって……」  なんか、どんどん言葉が溢れてきちゃって。  あ、なんか、止めた方がいいかな、オレ、初対面の女の子に何言ってるんだと、思った瞬間。 「――――……ぷぷ」  急に、雪奈ちゃんが笑い出した。 「え」  オレ、今、何か面白いこと言った……? 「……っあ、ごめんね。 だってなんか……優月くんのね、玲央の評価が高すぎて」  雪奈ちゃんが、勇紀の事を見ながら、クスクス笑う。  なんかいつの間にか、颯也と甲斐もこっちを見てて、笑ってる雪奈ちゃんに、苦笑いを浮かべてる。  蒼くんは聞いてはいるみたいだけど、さっきからずっと、面白そうにしながら、お酒飲んでるし。 「玲央ってさ。確かに、アンクの時はカッコいいしさ。ルックス良いし、確かにすごいモテるけど……でも、玲央は冷めてて全然本気にならないし、今までは体の関係ばっかで最悪だったし、優月くんみたいに、玲央とずっと居たいとか思う人がそんなに居るとは思えないんだけどなー」 「――――……」  そんな風に言う人もいるんだ、と。しばらく雪奈ちゃんを見つめてしまう。  あ、でも。  ……美咲の評価に、似てる。  セフレとか許せないタイプの女の子の評価は、こうなるのかな。なんて。  そんな風に思って、ちょっと可笑しくなってしまう。    でも、それでも――――……。  玲央が本気になってくれてなくても、オレ、玲央の事は大好きだったよね。  もともと、セフレでいいとか、信じられない選択をした位、玲央と一緒に居たかったんだし。  やっぱり、オレが、玲央を大好きすぎるのは、最初からだった。  

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