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第228話◇

【side*優月】 「あたし、玲央とは友達だからさ。心配だったんだよね、玲央。いつからか、恋人なんかいらないとか言い出してさ。まあモテるから相手に困んないのは知ってたけど」 「――――……」 「なんか、優月くんが好きってさ。あんな冷めた顔してたくせに、ほんとはこんな感じの優しそうな子が好きなんだと思うと、すごい笑えちゃうけど」  あはは、と雪奈ちゃんが笑うと、勇紀が、分かる分かると笑ってる。  2人の話も聞きながらなんだけど。  勇紀の隣で、玲央と蒼くんが何故か2人で話してるのが気になる。  あ、さっきオレがトイレ行った時話したんだっけ。  ……仲良しになったのかな??? と思うと、こちらの方が面白いけど。  ふ、と笑ってしまうと。  雪奈ちゃんに、顔を覗き込まれた。 「今の玲央は信じてあげてもいいと思うよ。あ、優月くん、SNSやってる?」 「ううん。やってない」 「じゃあ今度見せてもらって。とりあえず玲央の片思い応援モードで、あたし、流しまくるから」 「あ、でも――――…… 片思いじゃ、ないよ? だって、オレ」  言いかけたオレの言葉に、雪奈ちゃんは笑って首を振った。 「あ、いいのいいの。そこは多分、玲央は、その方が良いって思ってるんだと思うから」 「……そう、なんだ」  そういうのは良く分かんないけど。  雪奈ちゃんを見つめながら、頷くと。クスッと笑われた。 「ん?」  まっすぐ見つめると。 「そんな風に相手の子を守りたいとかさ、玲央が考えるとかね」 「――――……」 「よっぽど好きなんだろうなあ、と思ったよ」  ふふ、と笑う雪奈ちゃん。  ――――……オレも、ほんとにほんとに、玲央が好きだけど。   ああ、なんか。  すごく、玲央と離れてる気がする。  話したいな……。    そこに、美奈子さんと里沙さんがやってきた。 「玲央たち、そろそろちょっとステージ立ったら?」  その言葉に、蒼くんの隣に居た玲央が返事をして立ち上がって、それから勇紀達3人も、立ち上がる。  ざわつく中、玲央たちが揃って前に行くのを見送っていると。雪奈ちゃんは、ステージの方に歩いて行った。  蒼くんが、隣に移動してきて、笑った。 「さっき泣いて、なんか吹っ切れたか?」 「――――……」  ほんと、この人は――――…… 鋭すぎる。 「うん。……なんか、覚悟が、出来た、かも」  まっすぐ、蒼くんを見つめると。  蒼くんは、ふ、と笑って、オレの頭をくしゃくしゃ撫でた。 「ちょっと良い瞳になったな」  クスクス笑われて。 「そういうセリフ、恥ずかしくない……??」  言うと。 「皆が聞いてんのに、玲央が好き、とか言っちゃう方が、恥ずかしいと思うけどな?」  ニヤニヤ笑いで見つめられて、う、と詰まる。  ……確かに、そうなんだけど。  なんかさっきは、ずっと迷ってたのが、急に晴れて。  嬉しくなって、言っちゃったんだよね……。 「にしても、お前、ほんと良く泣くな?」 「……おかしいよね…… 恋すると泣くって。聞いた事あるけど。それ??」 「――――……オレは泣いた事ないけど」  蒼くんの苦笑いに。 「蒼くんはいっつも、理路整然としてるからだよ……意味わかんない、とか、あんまり無くない?」 「たまにはあるけどな。泣きはしないな」 「……今まで泣いた事なかったけど。 その気持ち、なんかここ1週間で、すごい身に沁みちゃった……」 「だから、今まで泣いた事ないのは、お前恋してなかったからだろ」 「でも居たよ? 好きな子。何人か」 「ちょっと可愛いなーとかちょっと好きだなーとかなんて、恋なんて、言わねえから」 「…………」 「だから何度も、言ってんだろ、初恋だって」  蒼くんの言葉に、もう素直に頷くしか、なかった。

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