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第244話◇
俯いてて良かった。
赤いの、バレないで済むかな。
――――……なんか、恥ずかしくて、じんわり、汗かいて、きたような気がする。
うー。落ち着けー。
「お前の髪、ほんと気持ちいい」
玲央は、めちゃくちゃ優しい声で言ってくれてて。
乾いてきてる、オレの髪を、優しくフワフワ触れてくれている。
のに。
うわーなんかオレ。
…………なんか、オレ。
玲央が、優しいの、すごく嬉しいのに。
「――――……」
何か、オレってば――――……。
心臓が、めちゃくちゃドクドクいってる。
どう、しよう。
こんな優しくドライヤーしてくれてる玲央に、
――――……オレが、やらしく、触ったら。
玲央、どうする、かな……。
もう少しで乾くから、それまで、待って――――……。
そしたら、玲央の、髪も乾かして、あげたい、し…………。
――――……でも……。
なんか。
……熱い。
ぎゅ、と握った手も熱い。
「――――…………っ」
手を、そっと。
玲央の、バスローブの、合わせ目から。
する、と入れて。
胸に、触れて、みた。
めちゃくちゃ、あったかくて。
筋肉の張りが、手にぴた、と触れて。
すごく、ドキドキ、する。
オレが触れた瞬間。
玲央が、髪に触れてた手を止めた。
「……優月?」
問いかけられる。
ドライヤーの音が、止まった。
「――――……あ、のね……」
「うん?」
「あの……なんかオレ……」
「……」
「玲央に触りたくて……」
ぎゅ、と瞳を閉じて。そう言ったら。
ドライヤーが、台に置かれた音がして。
腰に回った腕に、ぐい、と引き寄せられた。
振り仰いだ唇に、玲央が、唇をあわせてきた。
腰を引き寄せてる手と逆の手で、顎を少し掴まれて、自然と開いた口に。
めちゃくちゃ深く、キスされた。
「……んっ……」
舌が遠慮なく絡んできて。
また、息もまともにできないまま、激しくキスされる。
顎から外された玲央の手が、玲央のバスローブの紐をほどいた気配がして。
オレの手を掴んだ玲央が、自分の胸に、触れさせる。
「――――……っ」
少しだけキスが離れて。
玲央が、ものすごく、熱っぽい瞳で、オレを見下ろす。
「……触って良いよ、優月」
どきん、と胸が弾む。
すごくドキドキしながら、すり、と玲央の胸に触れると。
好き、な、感情が、めちゃくちゃ胸に沸き起こって。
また深く重なってくるキスに、応えて。
――――……すぐ熱くなって、溶けそうで。
「……ん……ふ、は……っ」
自分から触って、誘ったみたいなものだと、思うのに、玲央の激しいキスについていけなくて、苦しくなって、一瞬、後ろに引くと。
「息、吸って」
くす、と笑う玲央が少し待ってくれて。
それから、またキスされる。
舌が絡んで、ぞく、と震える。引けないように、後頭部を押さえつけられて、めちゃくちゃキスされる。
「……んン――――……」
口内を、全部舐められてるみたいで。
ゾクゾクが、止まらなくて。
「……れ、お……」
名を呼んだら。
不意に、ひょい、と抱き上げられて。
「……も、ベッドいこ、優月」
「あ、玲央、髪……」
「髪?」
「ドライヤー……」
言うと、玲央は、ああ、と笑って。
「オレはいい。つか、無理。待てない」
「――――……」
さっき、そっと触った玲央の胸と。
今は向かい合わせで抱き上げられてしまっているので、めちゃくちゃ密着してて。
なんかもう、ほんとに、ドキドキで、苦しい。
「玲央……」
ぎゅ、と抱き付く。
◇ ◇ ◇ ◇
後書き
◇ ◇ ◇ ◇
ふと、思いました。
そういえば。読んでくださる皆さん、
玲央と優月、どちらの方がお好きなんだろう?
まあ、可愛いっていってもらえてるのは圧倒的に優月です(笑
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