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第254話◇日曜日

【side*優月】  朝は、ホテルのルームサービスを玲央が注文してくれたので、それを待つ間に、一緒にシャワーを浴びた。  ドライヤーで髪を乾かしてくれて。今日は、オレもちゃんと玲央の髪を乾かした。朝から、そんなやりとりだけで、めちゃくちゃ幸せで。  ちょうど乾いた頃、食事が届いて、一緒に食事を始める。 「めちゃくちゃ、美味しい。何、このコンソメスープ……どうやって作るんだろう。今まで飲んだ中で一番美味しいかも……」  透き通ったコンソメスープの美味しさに、感動していると、玲央がふ、と瞳を緩めた。 「ほんとお前、美味いもん、幸せそうに食べる」    クスクス笑って、玲央が言う。 「そういうとこ、すげー好き」 「――――……」  ――――……起きてから1時間位の間に。  何度も、玲央にキスされて。  なんか。好きってめちゃくちゃ言われて。  現実感が無いというのか。  なんか。なんだろう、この、玲央の好き好き攻撃。  なんか、幸せ過ぎて。嬉しいけど、どうしたらいのか分からないような、変な感じ。  ひたすら幸せ気分で食事を終えて、昨日のスーツを着て身支度を整えた所で、急に玲央に、抱き寄せられた。 「まだ時間、あるよな」 「ん、30分位」 「じゃちょっと来て」 「ん」  ソファに、並んで一緒に座る。  改まって、なんだろうと、ドキドキしながら玲央を見つめると。 「まだこの話、ちゃんとはしてなかったと思って……何となく話してたしもう大体分かってると思うんだけど」 「うん」 「……オレが何で恋人作らず遊んでたかって話」 「あ、うん」 「……1人と付き合うと、その子の嫉妬すごくてストーカーみてぇになったり……他の女子ともめたり、結構色々あってさ。最初はオレが悪いのかと思って色々試したけど――――……最後はいつも修羅場でさ……オレ、そういうのがものすごく嫌で」 「――――……」 「もう楽しめればいいやと思って、セフレでもよければいいけど、とか言い出したら、結構それでも良いっていう奴も、多くて……それが楽になって」 「……ん。それはオレも、いいよって言っちゃったから……分かる」  きっと、その人達は、玲央の事が大好きなんだと、思う……。  ふ、と玲央が苦笑い。 「オレ、恋人っていう言葉に、拒否反応が強くて」  ……うん。  ……モテすぎるのも、ほんと、大変なんだなあ……。  皆、玲央を束縛して、自分ので居て欲しい、んだろうなあ……。  ……分かるけど。 「――――……で、オレが気になってるのが、さ。優月さ」 「ん?」 「男同士だし恋人は無理って、言ったよな」 「……うん。言った」 「今も、無理なのか?」 「……あれは……違う、そういう意味じゃないよ」  じっと、玲央を見上げる。 「女の子でも本気になったら終わるって聞いてたから……男なのに恋人になりたいなんて、言える訳ないから、そう言った」 「――――……んじゃあ……」 「うん?」 「オレと恋人の可能性はある?」  可能性……? 「可能性って、いうか……」  なりたい、けど。なれるなら。  そう言おうと、思って、玲央を見上げたら。   「あ、待って.オレから言うから」 「……?」 「恋人は無理って言ってたのが気になって聞いてるだけ……オレから言うから少し待ってて」 「あ、うん……無理っていうのは玲央が無理だよねって、ことだったから」 「ん、わかった。悪いな、片付いたらって思ってんのに、オレんち来てとかだけ、先に言って」  よしよし、と髪を撫でながら、玲央がそんな事を謝ってる。 「……だってそれは今日もどうするかって話だから、先なんでしょ?」 「ん。そう」 「大丈夫だよ、玲央。まださ、オレ達、会ってから1週間なんだし。全部、そ んなに急いで完璧にしなくても全然平気」 「……」 「オレ、セフレにしてもらおうと思ってた位でさ……玲央が会いたいと思ってくれる時に、会ってもらえればいいと、思ってた位なんだから……今の状態、夢みたいだし」  玲央はふ、とオレを見て、それからぎゅーと抱き締めてきた。 「――――……優月」 「……ん?」 「…………可愛い」  更にむぎゅと抱き締められて、何だか笑ってしまう。  甘えられてるみたいに、すり寄られて。  なんかまた、玲央が可愛いなあ、なんて思いながら、背中に腕を回した。

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