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第263話◇

【side*優月】  ……大体さ。  玲央のキスは、強烈で大変なんだもん、本当に。  最初のキスから。  ……オレが、全然キスに慣れてない時から。    気持ち良くて、浮いてるみたいになっちゃって、  キスって、こんなになるものなんだ、て、本当に、ヤバかった。  玲央がいつもいつも、すごく、キスしてくれるから。  この1週間で、少しは慣れてきた。……少しは。  慣れれば慣れるほど。最初よりは息が出来るようになって。  息苦しさが最初よりは少しは減ってくれたおかげで、もっと純粋に、気持ち良いなあと思うようになってきてしまった。  おかげで、最初から、気持ち良かったのに。  最近ますます、ヤバい感じで。  ほんとに、今は仕事に戻らないといけないし、蒼くんも居るし、まずいと思うから、舌入れないで、て、本気で言ったのに、  なんか逆に玲央のスイッチ入れちゃったみたいで。  深く、キスされて。  玲央のキスは、ほんとにダメで。  だめだって思っても、全然抵抗できないし。  すぐ気持ちよくなっちゃうし。もう、体が玲央を勝手に受け入れちゃってるとしか思えない位で。  玲央が大好きすぎて、他の事が、頭から消えちゃうというか。  ――――……でも今日は、これからすぐ蒼くんの所に行かなきゃいけなくて、蒼くんなんて、絶対そういうのすぐ悟るし、さっき、釘刺されたばかりだし。絶対やだ、と思って。  もうキスしないで。    と、言った。ら。  ごめん、と言われてしまった。  言われた瞬間びっくりして。  ――――……別に玲央が謝らない人だと思っている訳じゃないんだけど、こういうキスしたりっていうのは、きっとオレがちょっと言った位じゃ、したいからする、とか平気で言いそうだなあと思いながら、言ってたので。  あ、謝られちゃった。  と、びっくり。  謝られてしまうと、途端に、そこまで嫌じゃなかったんだけど…と、弱気になって。  本気で怒った訳じゃないよと言ってしまった。  …………怒って見せたのは、ちょっと、ほんとに困るんだよと言いたかったんだけど。ごめんと言われたら、逆に焦るとか。  かなりブレブレな自分に、ちょっと戸惑ってしまった。  それに、「ごめん」とすごく素直に言ってくれた玲央が、なんか愛しすぎて。  ――――……でも、よく考えたら外でああいうキスされると困るのは本当なので、全然怒ってないよってすぐ言っちゃうのもなあ。せっかくちょっぴり気にしてくれてるっぽいし、もう少し気にしててもらおうかなとも、思ったのだけれど。  ……ああでも、そんなのもうどうでも良くなってしまう位、玲央がなんか愛しくなってしまって。  ――――……それで、オレは。  キスしないでと、言ったそばから、玲央のほっぺにキスして、しまった。  大好き。  と思って。  そしたら、玲央、何でキスすんの、みたいな顔でオレを見るから。  オレはもう、玲央が愛しすぎたから、ほっぺにしちゃったけど。と思いながら。  もう玲央は、しちゃだめだからね、と言った。  きょとんとしてる玲央を見てると、心の中が、暖かくなってしまう。  普段、ほんとにカッコいい人だと想ってるんだけど。  ……たまに、びっくりする位、ものすごく可愛く見えてしまって。  玲央はオレに可愛いとかよく言うけど、  可愛い時の玲央の可愛さには、絶対、全然敵わないと思う。

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