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第277話◇

 泣き止んで。  落ち着いたら、結構泣いてしまった事がめちゃくちゃ恥ずかしくなって。  玲央がぎゅー、と抱き締めたままで居てくれるのを良い事に、そのまま、隠れてた。  どうしよう。  顔上げて、何て言おう。  泣きすぎだよね、オレ。  もう何で泣いたのかも正直よく分かんない位、なんか、こみあげてきてしまって。  恋人っていう関係が、すごく嬉しかったのが一番なんだけど。  ――――……玲央に会えて良かった、とか。  なんか色々考えていたら、もう意味も分からず感極まって泣いちゃって。  恥ずかしい。  でもいつまでもこのまま居る訳にはいかないし。  どうしよう。  思っていたら。  玲央が、ぽんぽん、とオレの背中をあやすように叩きながら。  ふ、と笑った。 「……この年で、よくそんな風に、泣けるよなー」  クスクス笑いながら玲央はそう言う。  ……うん。ほんと、そうだよね。  余計恥ずかしくなる。  ほんと。どうしよう。 「オレ――――……優月の事、泣かせないようにしたいけど……」  後頭部に触れた手が、優しく髪を撫でる。 「……こういう泣き方なら、いいか。――――……可愛いし」  クスクス笑う玲央。

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