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第281話◇
あれから。
――――……バスルームで、めちゃくちゃキスされて。
気が遠くなる位、気持ちよくさせられて。
オレ、口で、する?て言ったら、今は余裕無いし早くベッドに行きたいから良いって言われた。
ほんと可愛い、なんて言われながら手早く洗われて、それと一緒に、少し慣らすよ、と言われて、中を解された。
そうしながら、最後は、玲央のと一緒に擦られて、イかされた。
シャワーで流されて、バスタオルでくるまれる。
なんかもう、至れり尽くせりな感じで玲央が全部してくれて。
ごめん、今日はドライヤーしなくてもいい?と聞かれて、頷いた。
バスローブのまま、初めて入る寝室を見回す余裕もなく、薄明りのライトの下で、ベッドに組み敷かれた。
なんか――――……ほんとに、余裕、無いんだ、て思うと。
そんなに、オレと、したいと、思ってくれてるんだ、と感じたら。
ゾクゾク、しちゃって。
中はもう解されてたし、もう、すぐに玲央に抱かれるんだと、覚悟していた。
でも、余裕ない、て言ったのに、ベッドに来てから、されてるのは。
ずっと、キスばっかりで。
「――――……ん……ふ……」
しかも、激しくないキス。
甘くて甘くて、溶けそうなキス。
息も、苦しくない。
すごく優しく絡んで、噛まれて、吸われる。
「……っは……」
なんで、こんな、激しくないキスなのに。
――――……さっきから、こんなに、ゾクゾク、しちゃうんだろう。
なんか、体の奥から、熱が、徐々に、沸き起こってくるみたいで。
玲央の指が、頬をなぞる。優しい、触れ方。そのままうなじに滑って、少し上を向かされて。それまでよりも、ぴったりくっついて、深くキスしやすくなって。
「……ん、ん――――……」
深く重なっても、苦しくはない。
優しい。
ぴちゃ、と水音が響く。それも、全然、激しくない。
めちゃくちゃ、愛されてるみたいな。
優しい優しい、キスで。
絡んでくる唾液を、こく、と飲み込んで。
――――……なんか。……こんな事、自分が、してるとか、される、とか。
玲央とするまで、考えた事もなかったなあ、なんてぼんやり考える。
優しいキスは、正気を奪われるみたいなのとは違ってて。
いつもみたいに真っ白になったりは、しない。 ぼんやり霞がかかるみたいな、ふわふわ浮いてるみたいな、甘い感覚が、ずーっと、頭と体を支配してて。
玲央に抱きついてた手から、気づいたら、すると力が抜けて、落ちた。
あ。と思って瞳を開けたら、玲央も瞳を開けて。
視線が絡んだ瞬間、玲央が、ふ、と笑んで。オレの手を、きゅ、と握って、ベットの上に軽く押さえた。
「……っ……ん、ん」
激しくないキスなのに、どうしてこんなに、息が、熱くなるんだろ。
お風呂で一度達したからか、さっきまでみたいな切羽詰まる感覚はまだないんだけど。
じわじわと。
ゾクゾク感が、体を包んでて。
玲央の手を、ぎゅ、と握り返す。
「……れお ……」
「ん……?」
名を呼んだら、少しだけ離れた玲央が、微笑んだ。
余裕ないからって、さっき言ってたのに。
むしろいつもよりも、余裕な感じのするキスだけを延々繰り返す。
「……キス……だけ?」
「――――……」
オレの言葉に、玲央は一瞬黙って、それから。
可愛くてたまんない、みたいな顔をした。
言われたわけじゃないけど――――……もう、そうとしか取れないような顔で笑って。それから、オレの手を離して頬に触れてきた。
「違うけど――――……可愛くてさ」
頬に触れたまま、玲央の親指が唇に触れる。
少しだけ、口の中に指先が入ってきて。舌先に、触れた。
「……っ」
ぞくぞく、する。
こんな。指先が少し、舌に、触れた位で。
オレってば。
――――……どんどん、やらしくなってく気がしてしまう。
玲央が、優しいキスで可愛がってくれてるのに。
――――……もっと、触って、ほしいとか……。
「……キスだけじゃ、嫌?」
そんな風に聞かれて。
そんな事は無いんだけど。玲央のキスは、大好きで。今してくれてるキスは、ほんとに優しくて、大大好き、なんだけど、と思いながら。
「……キスは好き」
「ん」
「……でも……もっと、玲央としたい……」
「――――……ッ」
玲央がぐ、と言葉に詰まった顔をして。
少し見つめ合った後、肩に額を埋められた。
「……はー。優月……」
「……?」
「――――……いっぱいキスしながら、しようぜ」
ちゅ、とキスされて、うん、と頷く。
そこから、何だかものすごく丁寧に、慣らされて。
抱かれた。
大好きすぎて。愛しすぎて。
玲央とするのが、幸せすぎて。
深く受け入れて。たくさん、キスを、した。
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