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第283話◇「恋人同士」

【side*優月】 「優月……?」  明るい日差しの中、玲央の声がする。 「起きれる……?」  何とか意識を取り戻して。  とりあえず、第一声。 「……おは、よ……」  ……あ。声掠れてる。  ゆっくり目を開けると。  もうすっかり着替えてる玲央が、ベッドの端に座ってた。 「おはよ。――――……起きれるか?」  手が、オレの頬に触れて。  朝日の中で、超綺麗な絵みたいに。  玲央がオレを見下ろして、微笑む。 「…………っ」  かあああっと、熱くなる。  寝起きなのに、オレのこの反応だけは、あっという間で、焦る。  ていうか。  ……玲央が、強烈にカッコ良すぎるから、いけないんだ。  なんか朝日で、キラキラしてるから。  なんでそんなに、朝イチから、キラキラしてるの???  それに比べて、良いのかな?? オレ。  昨日あのまま寝て、ボケボケしてて、声は枯れてるし。  どーしていつも後から起こすの……。  もぞもぞ動いて、薄い布団を握り締めて引き寄せつつ起き上がる。 「――――……れお、あの……」 「ん?」 「一緒に起こして?」 「何で?」 「……なんか玲央だけすごい朝からカッコいいし」 「――――……何だそれ」  く、と玲央が笑う。 「優月は今、超可愛いけど?」 「……か、わいくないし……」 「可愛いけど」  よしよし、と頭、撫でられる。 「ていうか、無理させてるだろうから、ギリギリまで寝かせておきたいだけだから。オレは、優月を起こすの楽しいから、全然良いよ」  あんまり優しいので、何も言えないでいると、ぎゅ、と抱き締められた。 「体大丈夫か?」 「……体?」 「色んなとこ」 「……いろんな……」  う。なんか。めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……。 「た…………」 「ん?」 「……多分、だいじょうぶ……」  言うと、玲央がクスクス笑って、頬にキスしてくる。   「優月がシャワー浴びてる間に、下の店で朝飯買ってくるから」 「うん……ありがと」  言ったら、頬にキスされて、玲央が立ちあがった。 「明日は一緒に作ろうぜ」 「うん」  頷くと、よしよし、と撫でられた。 「あびといで、シャワー」 「うん」  玲央が部屋を出て行って、オレは、ふ、と息を付いた。  玲央と一緒に起きるようにしないと……。  ……でもあれなんだよね……起きれないんだよね。なんか、すごくぐっすり、寝ちゃって。……玲央とするのって、相当疲れるのかな。ていうか、してもらってる、のになんでこんなにぐったりしちゃうんだろ。  いつもは自然と朝日で目が覚めるのに。  ……慣れたら、起きれるようになるかな……。 「シャワー……」  動こうとして、布団から出ようとして、あ、オレ、裸かなと思ったら、ちゃんとバスローブ着ていて。  ……着せてくれたんだよね、きっと。してた時はもう、脱げてた、し。  優しいなあ……。  じんわり感じながら、足をベッドから下ろすと。  一度部屋を出てた玲央が戻ってきて、オレを見て、笑った。 「優月、ドライヤー、オレがやるからな。ちょっと買いに行ってくるから」  それだけ言うと、行ってしまった。 「……なに、それ……」  ふふと笑ってしまう。  立ち上がって、ふ、と部屋を見回す。  昨日は、部屋とか何も見れなかった。  大きなベッドと、小さなサイドテーブルと、照明があるだけの、寝室。  窓が大きくて、カーテンが開いてるとめちゃくちゃ明るい。  玲央の部屋って。  シンプルだけどオシャレで。  ごちゃごちゃしてないのが、すごく玲央のイメージと重なる。  余計な物は要らないと思ってそう。  部屋だけ見てても、カッコイイなあ。玲央。なんて思ってしまう。  全然慣れない家の中を、バスルームに向かって歩きながら。  ――――……玲央と、恋人。  男の人と恋人、とか。  ――――……少し前のオレだったら、信じないだろうけど。    今のオレは。  ほんとに、もう。自然と笑っちゃう位。  すっごい、嬉しいなあ……。

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