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第313話◇
【side*優月】
蒼くんと別れてから、玲央のマンションにたどり着いた。マンションの下にあるスーパーで食材を買ってから、玲央の部屋に入る。
シャワーを浴びようって事になって、もう当然のように、一緒にバスルームで服を脱ぐ。
……恥ずかしいのって、いつまでなんだろう。
ほとんど、毎日みたいに一緒にシャワー浴びてる、のに。
全然慣れない……。
「先入ってる」
玲央がそう言って、先に入ってくれたので、ほっとして脱ぎ始める。
玲央みたいな、なんかヌード写真撮っても売れちゃいそうな裸だったら、恥ずかしくないんだろうけど。
ふ、と静かに息をついて、全部脱ぎ終えると、バスルームのドアを開けた。
もう髪の毛を洗ってて、目をつむってる。
「あ。玲央の髪、洗ってもいい??」
「いい?って――――……いいよ」
ぷと、笑った玲央が、浴槽の縁に腰かけた。
「つか、洗って」
笑みを含んだ声は、ほんとに優しい。
こっち向いてるけど、玲央が泡で目をつむってるから今日はもういいやと思って、そのまま、玲央の髪に手をかける。
玲央の髪を洗うの。好き。
いつも玲央から香るシャンプーの香りが、一番強く感じる。イイ匂いで、なんか包まれてるみたいで、うっとりする。
これが、日中は、ふんわり香る。
――――……ていうか。今オレもこれと同じ香りかー。
……幸せすぎる……。
「玲央、ジムの後シャワー浴びたの?」
「ん、浴びたよ」
「ジムで?」
「そう。今度、一緒に行こうな?」
「うん。行きたい。ちょっと、筋肉欲しい」
「――――……何で筋肉?」
くす、と笑う声。
「やっぱり玲央が綺麗だから……玲央見てると、ちょっと筋肉欲しくなるよね……」
そう言うと、玲央がますます笑んで。
「……じゃあ、今週どっかでいこ」
「うん」
「続けて行かないと筋肉はつかないけどな。行く? 続けて」
「んー、考えとく……」
人生で筋トレ続けた事ない。できるかな……。
そんな事を思いながら、思わずそう言ってしまったら。
「何だそれ。……行くって言えよ」
クスクス玲央が笑う。
目をつむったまま。穏やかに笑んでるのが、なんか。
すごく優しくて。
好き、で。
「――――……」
玲央の下に膝をついて、泡だらけの手を、玲央の肩にそっとかけて。
ちゅ、と、玲央にキスしてしまった。
「優月……?」
「……あ、ごめん。……なんか、したくなって」
「……んー……」
玲央がそんな風に声を出して、それから、ぷ、と笑った。
「こんな泡だらけの、目あかない状態でキスされたの、初めてかも」
「ごめんね」
「謝んなくていーけど……とりあえず、洗い終わったなら、流して?」
笑いながら言う玲央。
うん、と頷いて立ち上がると、シャワーを出して玲央の髪の泡を流す。
なんかオレ。
キスしたくなったり。
玲央の胸に触りたくなったり。
なんか初めは……慣れてる玲央がオレに色々、してくれてたけど。
むしろ、玲央がそういうの何にも考えてない時に。
オレがそういう事ばっかり考えてるような……??
なんか――――……オレってば、ヤバいかな……?
反省しながら、玲央の髪の毛を流し終えた。
髪を掻き上げながら、玲央が立ちあがる。
ああ、もう……どうしよ。
……壮絶に、色っぽいんだけど。うわーん、はずかし……。
思わずくる、と玲央に背を向けた瞬間。
後ろからウエストに腕が巻き付いて、玲央に抱き寄せられた。
胸が。
破裂しそう、なんだけど。
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