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第334話◇

 ――――……顔、あっつい……。  ひたすら俯き加減でトレイを見つめながら、玲央の後を歩いて、食器を片付けた所で。  振り返ってオレを見た玲央が、苦笑い。 「……優月、顔、赤――――……何で? さっきの?」 「――――……だって……」 「とにかく、歩こ」  玲央に手首を引かれて歩き始める。隣に並んだ所で手を離された。 「……なんで、あの言い方、したの?」 「んー。猫が大好きっつーよりは……優月の事が好きで一緒に行くから、そう言ったんだけど」 「――――……」 「まずかったか?」 「……まずくはない。……ていうか――――……嬉しいけど」 「嬉しいのか」  ぷ、と笑う玲央。 「……でもちょっと……ていうか、すごく恥ずかしいかも」 「どうして?」 「……だって玲央が、オレの事、好き、みたいで」 「――――……みたいじゃねえけど」  ぷっと笑って、玲央がそんな風に言う。   「……部室、いこ、早く」  腕を引かれて、部室迄、急ぎ足で辿り着いて。  ついた瞬間、鍵がかかって、そのまま 抱き締められた。 「――――……優月……」  ぎゅー、とただ抱き締められて。  少しして、すり、と玲央の頬がオレの髪に触れた。 「――――……ずっと、こうしてたいとかさー……」 「……玲央……」 「すげー思うんだけど。何だ、これ……」  くす、と笑う優しい声に、胸が苦しくなって。  後ろに回した手で、きゅ、としがみつく。  そんなの、オレも一緒。  ……ていうか、絶対オレの方が強いと思ってしまう。 「あいつらには部室くんなって言ってきたから」 「――――……」  皆に何を……と、かあっと赤くなると。 「さすがにヤんなよって言われた」  くくっ、と笑う玲央の言葉に、ますます真っ赤になると。 「そんな反応されるとさあ。可愛くて収まんなくなるんだけどなー……」  クスクス笑いながら、玲央がオレの首筋に顔を埋める。  ちゅ、と音を立ててキスされて、びくびく!と体が震えた。 「は――――……可愛い」  笑いを含んだ優しい声で、耳元で囁かれて、ちゅ、と耳にキスされる。 「や……っ」  何されても、体が、びくつく。  あっという間に、体が、玲央を受け入れようとしていくみたいで。  すり、と頬に触れられただけで、腰にまた震えが走る。 「……っっ」  ぎゅ、と玲央の服を握り締めると。 「――――……あー可愛いな、お前……する?」  熱っぽく囁かれて、ぷるぷると首を振ると。  く、と笑う玲央。 「分かってるけど……」  後頭部にまわった手に引き寄せられて、むぎゅ、と抱き締められる。   「キスだけ」  言われて、自然と上向くと、重なる唇。  重なると同時に舌が挿しこまれて、オレの舌を吸い取られて。 「……ン、ぅ――――……」  しばらくキスされて、吐息はもう熱すぎて。  少し離されると、はぁ、と漏れる。  ドアから声が漏れそうで、一生懸命堪えていると。 「何で声、ださねえの?」 「……だっ、て」 「聞こえたらやだから?」  頷きかけた顎を捕らえられて、至近距離から見つめられる。 「余裕? 優月……」  くす、と笑って、玲央の唇がまた重なってくる。  同時に、もっと激しい、深いキス。 「…ん、ンっ…………は……っぁ……」  玲央の、激しいけど、甘いキスに。  容易く声が漏れて、止められなくなる。  ……余裕……なわけ、無い。  玲央といて、余裕だったことなんか、全然無い。  いっつも、いっぱいいっぱいで――――……。 「……っンんっ――――……」  舌、噛まれて、震えると。  ――――……玲央が、キスしながら、ふと笑った。   「……余裕じゃない?」  瞳を開けると。  なんかもう。  愛しくてたまんないっていう――――……優しい顔を、してるから。  胸がとくんとくん、波打ってて。 「大好き、玲央……」  玲央の首に、手を回して。  ちゅ、とキスしてしまったら。  玲央はまた優しく笑ったけど――――……。  それから、また深くキスされた。

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