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第339話◇
おやつをじっと見つめるふりをしながら、頭の中、何も考えられず。
少し時が過ぎた所で、隣で玲央がまた笑いながら。
「優月、おやつ選ばねえの?」
「……ん」
「早く行かねーとクロに触ってる時間なくなるぞ?」
じ、と見つめて笑う玲央に、ん、と頷いた。
「……これにする」
もう早く買って、クロの所に行こう、と立ち上がると。
「飲み物も買ってこうぜ」
ひょい、とおやつを奪われて、玲央がドリンクコーナーに歩いて行ってしまう。
「玲央、それ……」
咄嗟に呼んだら、くる、と振り返った玲央が、真顔で。
「あのさ、優月。一緒に居る時のは、オレが払う」
「――――……」
「と思ってるけど――――……言いたい事ありそうだから」
玲央は、クスクス笑いながら。
また頭ポンポンしてくる。
「帰ったら話そ。とりあえずここは払う。飲み物どれがいい?」
「……麦茶」
「ん」
「……ありがとう」
「ん」
ふ、と笑って、玲央は歩いてく。
――――……何だかなー、玲央。ほんと、カッコいいんだけど。
うーん。……なんだかな。
玲央は良いって言うけど。……オレが気になるだけ、かー……。
ちょっと考えていたのだけれど、前方に、レジでおばちゃんたちが待ち構えている雰囲気が見えて、一気に、そっちに気を取られた。こっちは後で話そう……。まずこのおばちゃんたちをクリアしないと……。
「お願いします」
玲央が言って、台に商品を置くと。
1人のおばちゃんがピッピッとレジ作業。
なぜか、というか、理由は分かってるけど、もう1人のおばちゃんもすっかり品出しをやめて、隣に居るし。
このレジにおばちゃん達が2人並んでるの、普段、見ない。
いつも1人がレジで、1人は品出しとか掃除とか。混んで来たらもう1台のレジには入るけど。
……もう、興味津々な視線が……。
玲央が会計をしてる間、手の空いてる方のおばちゃんがオレを見て。
「優月くん、玲央くんとは……」
「――――……」
「……すっごく、仲良く見えるけど……」
遠回しすぎて。
もう、いっそはっきり聞いてくれた方がー!と思った瞬間。
会計を終えた玲央が、ふ、とオレを見てから。
「すごく仲良いですよ? な、優月」
この場に必要ないんじゃないかと思うような、キラキラの笑顔で。
玲央は、おばちゃん達に微笑みかけてから、オレに視線を向ける。
何て顔で笑っちゃうんだと思いながら、おばちゃん達に視線を向けると。
……おばちゃんたちがすっかりやられてた。
「それってもしかして……」
もうすでにおばちゃん達、叫びそうなのに。
ふ、と玲央がまた笑んで。――――……ていうか、もうとどめ、みたいな。
「てことで。また優月と一緒に来ますから、よろしく」
おばちゃんたちが何か言う前に、玲央が、「優月行こ」とオレを引いて、コンビニを出た。
自動ドアが閉まって、すこし急ぎ足で離れてから、ぷ、と笑ってる玲央。
「玲央、おばちゃんたち、絶対叫んでる……」
「だろーな」
クスクス笑う玲央。
「あんまり期待されてたから」
「そうだけど……」
「面白かったな?」
「――――……」
悪戯っぽい顔して。
――――……じっとオレを見つめてくる。
こんな顔も、するんだ。玲央。
――――……なんかもう。
……ああ、もう。
「うん」
ふふ、と笑ってしまう。
ほんと――――…… 好き、玲央。
そんな風に思ってると、また、めちゃくちゃヨシヨシされた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
次めちゃくちゃ甘いです(∩´∀`)∩
2人、お好きですか(*'ω'*)?とたまに聞いちゃう('∀')
このコンビニのおばちゃんになりたい方いますか?うふふ。
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