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第344話◇

「あいつらには部室くんなって言ってきたから」 「――――……」  抱き締めたまま囁くと、優月は、かあっと赤くなる。  そういう事、想像したんだろうけど。 「さすがにヤんなよって言われた」  笑いながら言うと、優月は、ますます真っ赤になった。 「そんな反応されるとさあ。可愛くて収まんなくなるんだけどなー……」  クスクス笑いながら、優月の首筋に、キスすると。  大げさに震える体。 「は――――……可愛い」  クロのこと、諦めてもらって、このまま、抱いてしまおうか。  ――――……そんな欲で、体の奥がゾクリと震える。  耳にちゅ、とキスすると。 「や……っ」  少し触れて、少しキスするだけで、ビクビクして。  ――――……ああ、もう、可愛い。  この反応、全部、思う通りで。  オレしか、触れてないから、オレの思うように、反応する。 「――――……あー可愛いな、お前……する?」  囁くと、ぷるぷる首を振ってる。  ………可愛い。  こういうの見てると何もしないで、ただめちゃくちゃ優しくして、可愛がりたいっていう感情も、起こるのだけれど。 「分かってるけど……」  後頭部に手をまわして、可愛い優月をぎゅと抱き寄せる。   「キスだけ」  深く重ねて、舌を絡める。   「……ン、ぅ――――……」  一生懸命声を我慢してる優月に、少し意地悪したくなる。  めちゃくちゃ甘く、めちゃくちゃ可愛がるようなキスをしてると。  息が熱くなって、触れてる優月が熱くなって、顔が、気持ちいい、て顔になって――――……。   「大好き、玲央……」  不意にそんな風に言われて、首に抱きつかれて、ちゅ、と可愛いキスをしてくるとか。  ほんと……。  襲われたいんだろうか、と思ってしまう。  そこからまた唇塞いで、めちくちゃキスしてると、優月は、ふ、とぐったりしてくる。  なんかふにゃふにゃ柔らかくなってる気すらして。  可愛くてたまんない、瞬間。  唇をゆっくり離すと、じっと、オレの瞳を見上げてきて、ふ、と、緩む。 「……可愛い」  クロの所に行きたがっていたから、これ以上はしないと決めてはいるし、キスも、そろそろやめないとと思うのに。  何だか手放せず、何度も頬や耳や、あちこちにキスしてしまう。 「れ、お――――……あの……クロのとこ……時間無くなっちゃう」 「んー……分かった。じゃあさ」  見上げてる優月が可愛くて。 「優月からキスして? それで終わりにする」 「――――……」  そう言ったら、ちょっと恥ずかしそうに。  でもオレを見つめて、ふ、と瞳を緩ませて。  そうかと思ったら、両頬を挟まれて引き寄せられ、ゆっくりゆっくり、触れて、押し付けられて――――……ゆっくり、離れていく。  どく。  ――――……血が、一気に熱くなったみたいな。  何考えてんのかな。ほんとに。  するよ、マジで。  ……そんな訳にはいかないので。  ――――……ひたすら、抑えながら。  すげえ燃えるから、夜やって。  そう言ったら、優月は一瞬意味を考えてから。恥ずかしそうな顔をする。 「めちゃくちゃ、気持ち良くしてやる、優月」 「――――……だいすき……だからしたんだよ?」  大好きだから、キスしただけ。  別に、気持ち良くしてほしくてしたんじゃない、ってこと?  ――――……でも、大好きだから、ていう言葉に、また惹かれる。  とにかく、もう、何言っても可愛くてしょうがないのは、もう。  自分でも分かってるんだけど。  ……すげーな、毎回、可愛いと思ってるのを超えて また可愛いとか。   「分かってるよ。だから、じゃんか」 「………………っっ」  ていうか。  ――――……今みたいに、キスして。  ……大事そうに、頬に触れて。  何もするなっていう方が、ひどくねえ?  そう思ってしまう。

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