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第360話◇

「すげー嬉しそうな顔してるけど」  振り返った玲央に、クスクス笑われて。 「だってなんか、玲央がここに居るのも不思議だし。オレの絵、探してくれてるのも、嬉しいし」  先生達から少し離れているので、小さめな声でそう言ったら。  玲央も、ふ、と笑った。  オレの絵がかかってる所を通り過ぎて、オレは後ろで自分の絵をちら、と見て。これは分かんないかなあ?なんて思いながら、玲央の後ろ姿を見ていたら。  玲央が少し先の端まで行った所から、戻ってきて。 「あの花束の絵は?」 「――――……」  わー。  ――――……玲央、すご。  言葉を一瞬失って、玲央を見てたら。 「あ、違ったか?」  と玲央。  慌てて、首を振る。 「ううん。あってるよ――――……すごい、玲央」 「お前の事、よく知ってる奴なら当たる気がするけどな」  ふ、と玲央が笑う。 「イメージ、すげえ合う」 「ん。なんか……ありがと」  何だかよく分かんないけど、ありがとうが出て来て。  2人で、クスクス笑ってしまう。  先生と希生さんが、近づいてきた。 「――――……なんかあれだな。玲央、少し大人になったな」 「……そう?」 「なったのか、優月くんが可愛いから優しいのか?」  ふ、と笑いながら希生さんが玲央を見て、言うと。  ――――……ちょっとオレは、ドキドキしちゃうんだけど。  玲央は、「うん。そう」と笑う。 「だって可愛いもんな、優月」 「――――……」  もんなって、言われても……。  困ってると、先生もクスクス笑って。 「蒼もだし、玲央くんもだし――――…… 優月の事、やたら可愛がるのはこういうタイプなのかな」 「久もやたら可愛がってるだろ?」  クスクス笑う希生さんに、久先生もふ、と頷いた。 「そうだね」  先生。多分ちょっと、助けてくれたのかな。  なんて。  ……思ったりする。  ――――……玲央は。  家族にはまだって言ってたわりには、あんまり隠さないし。  ……敢えては言わないけど、バレてもいいや、くらいな感じが  玲央っぽいな、と。思ってしまった。

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