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第381話◇

「――――……」  どアップで見ても、なんかもうほんとにどこからどう見ても、カッコイイし……。    ……何がこんなにカッコいいんだろう。  瞳? 顔の形……唇かなー。鼻……うーん、でもバランス……?  どうしてこんなに……と、キスされながら、マジマジと見つめてたら、なんだか、くす、と笑われて。 「……?」  不意に後頭部に回った大きな手に、あれ?と思うと同時に、ぐい、と引き寄せられて、深く、キスされた。 「……ん、ン……っ……?」  人気は無いけど。それにすごく暗いから。  多分、どこか遠くから誰かがこっちを見てても、人影がくっついてるな、くらいしか分からないとは思うけど。こんなキスをしてるなんて、思わないと思うんだけど……。  外で、ものすごい丸見え感のある場所で。 「……れ…………っン――――……」  あっという間に、すごい深いキスになって。  舌、絡め取られて、ゾクゾクしたものが背筋を走る。  瞳を開けていられなくなって、もう、息するのに精いっぱい。 「……ン、ふ……っ……?」  涙で滲んで、玲央の顔がぼやける。 「――――……なんか……」 「…………っ?」  キスを離した玲央が、くらくらしてるオレの顔をまっすぐに見つめて、クスクス笑う。 「――――……キスしてんのに、優月が余裕な顔してると、泣かせたくなるな?」  すごい至近距離で、くす、と笑われて。  何やら瞳をキラキラさせて、すごく楽しそう。  違うもん。  余裕な顔してたわけじゃない、し。  ただちょっと。  ――――……造形として、あんまりにカッコいいから、一体何が、こんなにカッコいいんだろうって、ちょっと研究してただけと言うか。  すごく顔を見ちゃってただけで。 「……っ……見てた、だけなのに」 「――――……」  涙に指で触れて拭って、玲央がすごく楽しそうに笑う。 「ほんと、お前、可愛い」  また唇が、重なってくる。  どんだけ、キスするんだろう、この人は。  ――――……なんか玲央と居ると。  まだ10日くらいなのに。  そろそろ、オレが玲央と会わなかったらするはずだった、一生分のキスの回数をこえるんじゃないかな。なんて思う位。  めちゃくちゃ、ちゅーちゅーされる。  悔しいけど。  ……こんな風にしてる玲央には、何言っても勝てなそうだし。  めちゃくちゃキスしてくる玲央に、もうされるがまま。  でもなんか、くすぐったくて、笑ってしまう。 「キス、しすぎだよー……玲央……」 「んー?」  クスクス笑う玲央に、頬や額や、あちこちにいっぱいキスされて。  なんか、キスされるって。  すごい幸せなんだなあと、すごく思ってしまう。 「あ、玲央」 「ん?」 「ちょっとストップしてて?」 「?」  オレの言う通り、動きを止めてくれた玲央を下から見上げて。  その頬や、唇にキスして。額は届かないので顎に、ちゅ、とキスを返してみると。 「――――……何、してンの? オレの真似?」  優しく緩む瞳に、まっすぐ見つめられて、そんな風に聞かれる。 「うん。……真似」 「何で真似?」  何でと聞かれると、すごく困るんだけど……。 「……いっぱいされるの、幸せだったから?……かな?」  そう答えたら。  玲央は、ぷ、と笑って。 「――――……幸せ、ねー……」  そう言いながら、まっすぐオレを見つめる。 「……幸せっつー言葉ってさ」 「……?」 「……普通に使われると、すげー照れるな……?」 「…………っ」  ぷ、と笑われながらそんな風に言われると。  何だか一気に恥ずかしくなって、かあっと熱くなる。 「……な、無しで、今の」 「無しにしないけど」 「無しにして、恥ずかしいから……っ」 「しないって」  クスクス笑いながらオレを捕らえる玲央に、ぐい、と抱き寄せられる。   「――――……オレも、すげーなんか……幸せかもしんないし」 「――――……」  あ。もう。なんかもう。  無理。  好きすぎて。  ゆっくり顔が近づいてくる。少し傾いて。    あ、そういえばここ、外なんだよなー……なんて、ちらっと掠めるけど。  暗いし誰も近くに居ないから、いっか……なんて思って。  触れる直前で、ゆっくり、瞳を伏せた。

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