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第390話◇

 優月が、大きな窓から外の景色を見ている所に近付いて。  肩から前へ腕を回して、後ろからぎゅ、と抱き締める。 「――――……」  優月が黙ったまま、オレを見上げてくる。 「……ん?」  見つめられて、ふ、と微笑んだら。 「ご、めん。ちょっとはしゃいじゃった」  優月がちょっと照れたみたいに笑う。 「はは。何で謝ンの」  言いながら、すり、と優月の顔に頬を寄せると。  ふふ、と笑いながら、オレを見つめて。 「何しに来たんだろうって、思ってないかなって……」  一応、ここに来る意味は分かってるみたいだなあと思って。  そんな言葉に、クスクス笑ってしまう。 「探検楽しそうだなと思ってた」  笑いながら言うと、優月は、あ、やっぱり、と苦笑い。 「ごめんね、なんか思ってたとこと、大分違うし、なんか色々興味が……」 「今度もっと、ラブホっぽいとこ行くか?」  オレがクスクス笑いながらそう言うと、優月はふ、と可笑しそうに瞳を細める。 「どういうとこが、ぽいの?」 「もっとド派手なとこ? バスルームが透けて見えるとか… 部屋がキラキラするとか?」 「何で透けるの?」 「さあ…? 透けて見えるって、エロイんじゃねーの?」  思わずクスクス笑いながら答えると、優月は、透けるってエロイのかーと、頷いてる。……多分よく分かってねえな、これ。赤くもなんないし。  ……面白ぇな。  前に回っているオレの腕に、優月が触れて、きゅ、と握ってきた。 「ね、玲央、さっき歩いてた海って、あっちだよね?」 「そう。向こう」 「海、月明かりで綺麗だったねー…」 「ん。そうだな」  のどかな言葉と声と、手にきゅっと触れてる優月の手。  それを、可愛いなと思いながら頷いていると。優月が、くるっとオレを振り仰いだ。  瞳を細めて、顎を、少し上げて、オレを見つめてくる。 「ん?」 「……キス、する……?」 「――――……ん、する」  ……マジで、可愛い。  回していた腕を動かして、優月の顎にかけて、そのまま体をオレの方に向けながら、唇を重ねた。  重ねると同時に、優月が少しだけ唇を開く。  そういえば、自然と開くようになったなあと気付いて。愛おしくなる。  舌、入っていいって事だから。 「――――……ン……っ」  優月の舌に触れながら、深く重ねて、舌を差し入れて絡める。  舌の裏、弱い。上顎も。そこに触れると、ぴくん、と震える。  何度も触れながら、舌を吸うと、ぎゅっと瞳を伏せて、ぶる、と体を震わせる。 「――――……ん、ん……?」  舌を絡めながら、顎と頬に触れてた指をするりと滑らせた。  耳の周りに触れてから、中をくすぐると。 「っあ」  咄嗟に声が漏れて、唇が離れた。 「――――……っくすぐ、ったい」 「……ん。そうしてる」  そう言って笑うと、優月は何も言わず顔を赤らめたまま。  オレがもう一度キスしようと近づくと、また薄く唇を開きながら、瞳を伏せていく。 「――――……」  初めてキスした時は、びっくりしてて、目を見開いてて。  ――――……オレは、まさか優月がキスが初めてだとは思わずに、口開けてって伝えたんだっけ。 「……ン――――…… ん、っ……」  何も言わなくても口を少し開いてくれて、呼吸も少しうまくできるようになって。絡める舌に、応えてくれるようにもなった。  指を滑らせて、耳をくすぐって、そのまま、首筋を伝って、鎖骨に触れる。 「……ン、ふ……ぁ………っ」  ふる、と震えながら、優月の手がオレの腕に触れる。  気づいて、目をあけて、優月を見ると。    僅かに、眉を寄せて。  頬、赤くて。睫毛は涙で濡れてるし。  なんだか、ぞく、と――――……一瞬で、そそられる。  あーもう……。  ――――……どーしてこんなに、可愛いかな……。  ぐい、と腕の中に抱き込んで。  さらに深く、口づけた。

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