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第400話◇
頬に触れられて見つめられて。
「……オレがお前としたいって、ちゃんと納得?」
「――――……」
もう一度ちゃんと聞かれたので、うんうんうん、と小さくたくさん頷くと。
玲央はクスクス笑いながら、オレを抱き締めて。
なんか頬や髪とか、たくさんキスしてくる。
玲央って……どうしてこういうの恥ずかしくないのかなあ……。
されてるだけで、もう、かなり照れちゃうのだけど。
そう思うんだけど。
…………オレとしてて、イイのかなあ。
ていう疑問は。
なんか色々で、かなり打ち砕いて、もらえた。気がして。
「くすぐったい……」
笑ってしまうと。玲央も、クスクス笑って。
我慢して、と言って、続けてくる。
そんな事をしていたら、ふっと気づいた。
「わー、見て、玲央」
「ん?」
「手がすごいふやけてるー」
「ん? ほんとだ」
むにゅむにゅしてるオレの指先に触れて、玲央がクスクス笑ってる。
「こんなふやけてるの見たの、初めてかも……あれ、玲央は?」
玲央の手を掴んで、じっと見つめるけれど、全然ふやけてない。
「何で??」
ちょっと不満で聞くと、何で不満そうなの、と言って、玲央が笑う。
「オレは、お前の事こうやって抱いてたし、頭触ってたり。外に手、出てたからだろ」
クスクス笑いながら、玲央がオレを抱き締める。
確かに。玲央の手は、外にあったかも。
オレの手はずーっとお湯にぽちゃぽちゃ触ってたからかー。
「すごい、これ、どれくらいで戻るんだろ」
じっと手を見つめていると、玲央がオレの頬をつまんだ。
「そろそろ出よっか? 優月」
「あ、うん」
「気づくとここに2時間位居るし」
「え、そんなに?」
「居るよ。そりゃふやけるよな……」
クスクス笑って、玲央が立ち上がりながら、オレも立たせてくれる。
「なんか、幸せ過ぎて、あっという間だったなー」
2時間も居たなんて、思えない。
…………玲央としてたのって、何分位なんだろう。
すっごく長いような気が、するんだけど。
頭真っ白んなって、時間の感覚、まるでなくなって。
なんか一瞬みたいにも、思えるし、ずーっと、色んな事、されてる気も、するし。……不思議。
色々思いながら、指先のブニブニした所を触っていたら。
はー、と玲央がため息をついた。
ん?と、玲央を見上げると。
玲央の指が頬に触れて、玲央の方に引き寄せられた。
「……?? 玲央?」
「幸せ過ぎてとかさ」
「……うん??」
「――――……恥ずかしくない?」
じっと見つめられるけど。
「……うん、ない……」
……恥ずかしくはないよね??
ていうか、いっつもいっぱい恥ずかしい事言ってくる玲央に、恥ずかしくない?とか聞かれるって。
その事自体が何だかちょっと恥ずかしくなるっていうか。
「……幸せとか、こんなに普通に言う奴って……貴重だと思うんだけど」
「…………? 言ってて、良い、てこと?」
「うん。ずっと言ってて」
「ずっとって……」
抱き締められて、クスクス笑ってしまう。
そっかー。幸せって。
…………恥ずかしいの???
玲央がいっつも言ってる数々の言葉たちの方が、すっごく恥ずかしいと思うんだけどなあ……?
恥ずかしいの基準て、違うんだなあ、と、ぼんやり思いつつ。
オレを抱き締めて、髪にすりすりしてる玲央に、何だかクスクス笑ってしまいながら、きゅ、と抱き付いた。
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