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第406話◇

 これ何?……って何だ?  そう思いながら部屋に戻ると、優月が居たのは、小さな扉の前。  扉を開けようとして、手をかけてる。 「玲央、ここ開けてもいい?」 「いいけど、そこ多分――――……」  多分、アダルトなグッズが入ってると思う……。  一瞬、言葉を選ぼうかと言い淀んだせいで、遅れた。  優月は、「いいけど」の時点でもう、扉を開けていた。 「昨日から、何の扉だろうってずっと気になってて……??」  開けて、中を見てる優月は、固まってる。 「何だろう、これ。 自販機??」  開けても、まだ分かってはいないみたいだった。  どんな感じで置いてあるとこなんだろう、と、後ろからのぞき込むと。  ああ、確かに自販機みたいになってるな。  金を入れて、ボタンを押すと、そのグッズが出てくる感じに。  あんまりぱっと見、形状とか分かるようにはなってない。多分ぶら下がってるパンフみたいのに詳しく書いてあるんだろうけど。  まだ多分、優月は、何が入ってるのか気づいてないみたいで。  可笑しくなって、クッと笑い出してしまったら、  え?と優月がオレを見上げてくる。  無邪気な顔に、何だか、イタズラしたい気分が沸き起こるのは、何でだろう。  優月の肩に手をかけて、一緒に覗き込む。 「これさー優月」 「うん?」  自販機じゃなくてオレをまっすぐ見てる優月が可愛いけど。 「見てみな、ここ、何て書いてある?」  これなら分かるかなというのを指さして、聞いてみる。 「んーと…… スーパー、バイ……ブ……――――……」  優月が目をパチパチさせて。  ん?と思ったらしくて。  違う所の名前もさっと見て、目隠しやら手錠やら、また違うあやしげな名前をちゃんと見たらしく。「あ」と、口を覆った。 「これって、もしかして……」 「ん。アダルトグッズだな」  言った瞬間、みるみる見事に真っ赤になる。  あー。  何なの。この、すげー可愛い反応。  オレの周りの奴らが見たら、すっげー楽しそうに、あれやこれや買い出して、騒いでそうなのに。 「ご、めん、へんなとこに呼んで……」  言いながら、ひゅー、と扉を閉めようとしてる優月。  なんかもう可愛すぎて、ますますからかいたくなって。扉を閉める手を止めた。 「玲央??」  何で止めるの?といった顔で見上げられる。 「欲しいのあったら買ってあげるけど」 「……え……ううん、無いよ??」 「何で? こういうのもたまには良くないか?」 「………オレには、難易度が高すぎ」 「難易度って……」  真っ赤。もはや中を直視も出来ないらしい。  ああ、もう。反応が全部可愛い。 「そーいえば、オレもこういうのは使った事ないなー」 「え」 「何? 使ってそう?」  意外そうな顔に、笑ってしまいながらそう聞いたら。  んー、と考えながら。 「……使ってそう、とかじゃないんだけど……」 「けど?」 「……何となく、玲央は色んな事なんでもやったことありそうって思ってるみたい。……そうなんだ。こういうのは、無いんだ?」 「無いなぁ」  そういえば、触った事もねーな。 「……玲央も初めてなの?」 「ん? ああ、そうだな、初めて」 「――――……使いたい??」 「え?」  なんか真っ赤な優月が、少し乗り気?? 「玲央が初めてって、あんまり無いから」 「――――……」 「……一緒に初めてなら……」 「――――……」  「オレと」「初めて」なら。  こういう系も、試そうって思ってくれんの?  ――――……ある意味、純粋なのかな。  意外だけど、なんか、すげえ面白ぇな……。  ……つか、耳まで赤いけど。  可愛くて、両頬に触れながら、耳まで手を滑らせると。  頬も耳も、熱い。 「……玲央?」 「お前、ほんと、何でそんな可愛い?」 「…………?」  言われた優月は、何を可愛いと言われてるのか分からないみたいで、不思議そうな顔をしている。

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