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第409話◇
【side*優月】
玲央がオレの為に選んでくれたという香水をつけてくれて。
それがほんとに、いい匂いで。
玲央がいつも、オレが居ない時に、オレの為に何かを選んでくれるのが、本当に嬉しい。だって、居ない時も、考えてくれてるって事だし。
オレはいっつも玲央が頭にあるけど、玲央も、少なくともそう言う時は、絶対オレの事思い出してくれてるんだって、分かるから。
何かをくれるから嬉しいっていうよりは。
それを選んでくれる時に、オレを思ってくれてるっていう事が、嬉しくて。
手の中にある香水の小瓶が、もう、幸せの塊みたいで。
触れてるだけで、本当に、嬉しい。
玲央と離れたくないななんて思いながら、それを伝えたら。
玲央も分かってくれて。なんかもうそれで大満足で、離れようとした時。
急に引き寄せられて、うなじに、玲央が近づいた。
あ、匂いかなとは思ったのだけど――――……ぞく、と一瞬してしまって。
それが恥ずかしくて、真っ赤になっちゃった時。
勇紀が玲央に、突っ込んできた。
まくし立てる勇紀に、玲央が嫌そうに否定しだす。
ああ、なんか、いつも通りだなーと思って、笑ってしまう。
オレと居る時とは、違う感じの玲央。
――――……こんな感じも、楽しそうで好きだなあと。
「優月、人前で恥ずかしかったら、断っていいんだよ?」
勇紀がそんな風に言って、オレを見つめる。
玲央を見上げると、玲央は、ん、とオレを見つめ返す。
「大丈夫」
ふ、と微笑むと、玲央の手が、オレの頭をヨシヨシしてくる。
「だからさー、優月が可愛いのは分かるけど、玲央は、すっげー目立つんだからな、それ、ちゃんと自覚しろよ」
「――――……」
勇紀の言葉に玲央が、んー、と考える。
「……でもオレも優月も、バレてもいいし。な?」
「うん」
「はーやだやだ。まだちゃんとばらしてないんでしょ、優月」
「あ、うん」
「じゃあもう、単なるうわさの的んなっちゃうよ?」
「……ああ、なるほどー」
確かに、玲央といると、皆がその事聞いてくる。
「確かに、玲央、目立つよねぇ……オレ、目立たないと思うんだけど」
「……でも、オレ、最近一緒に居る見慣れない奴誰ってよく聞かれるけど」
「……それは、オレが目立ってるんじゃなくて、玲央が目立ってて、脇に居るっていうだけなんじゃないのかな??」
オレがそう言うと、玲央と勇紀が顔を見合わせて、んー、と考えてる。
「玲央の目立つのはダントツだけど…… 今まで玲央が居たタイプと、優月が全然違うからさ、なんか、逆の意味で、すごい目立ってんだよね……」
と、勇紀。
「だって、オレですら、何回か聞かれたよ」
「何をだよ?」
首を傾げてる玲央に、勇紀は、くすくす笑いながら。
「玲央が珍しいのと仲良く居るの見たんだけど、あれなに?って」
「誰に?」
「耕人とかー千葉とかー清瀬とかー色々」
「ああ……あ、ずっと今まで一緒の奴らな」
と、玲央がオレに説明してくれてから、玲央は苦笑いで勇紀を見た。
「お前なんて答えてんの?」
「最近仲いいみたいだよって。それだけにしてる」
「ああ。それでいいよ。な?」
玲央に聞かれて、うん、と頷く。
「誰に何て言われても別に関係ないけど……優月が何か嫌な思いしたら、すぐ言って。考えるから」
玲央の言葉に、嬉しくて頷くと。
隣で勇紀が何とも言えない顔をしていて。
「勇紀??」
声をかけたら、勇紀が、玲央に急に抱き付いた。
「なんか、成長したな、玲央……」
玲央は、はーーー、とため息を付きながら。
「なー……。お前、オレが目立つって言ったよなー。お前だって結構目立つんだからな…… オレとお前が抱き合ってたら、こっちのが目立つと思わねえ……?」
疲れたように言う玲央に、「確かに」と苦笑いで勇紀が離れる。
「だってなんか、玲央がすっごい優しい事、優月に言うから……感動しちゃって」
勇紀が玲央に言ってるのを見てると、なんか、微笑んでしまう。
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