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第413話◇
昼食を終えて、3限も終えて。あとの4、5限は連続の授業。
この学校で一番広い教室に来て、中に入ったところで、ふっと思い出した。
「優月どした?」
ドアで立ち止まったオレに、気づいた友達が振り返る。
何でもない、と答えて、すぐ後について、座った。
その時、スマホが震える。
見ると、玲央から。
『授業が終わったら、部室に来て?』
そう言われたので、分かった、という可愛いハムスターが揺れてるスタンプを送ってみた。
最近よく使ってる、可愛い癒しスタンプ。
玲央は、何か反応するかなあ? それとも、別にチラ見して、スルーかなあ?と思いながら、スマホを見てると。
すぐに入って来たのは。
『似てる』
え。似てる?
似てると言われるとは思わなかった。
似てないよ、と返そうとしたら。
『自画像?』
そう言われて、もう一度送ったスタンプを見る。
………ハムスターなんだけど。モコモコフワフワした。
自画像じゃないって、入れようと思ったら。
『自分を見ながら、優月が描いたの?』
いやいや、違うってば。
玲央の次々入れてくる言葉に、瞬きを繰り返していると。
『冗談だよ』
と入ってきて。
あ、冗談……そんな、何回も入れてくる感じで、玲央って冗談言うんだ、なんて思って、何て返そうかなー、コロコロ笑ってるハムスターのスタンプでも送って置こうかなあ……と思っていたら。
『でも似てるのはほんと』
あれ。 似てるっていうのは冗談じゃないの?
またスタンプ返せないまま固まっていると。
『似てると思うと、これ、すげー可愛いな』
と、入ってきた。
「――――……」
恥ずかしい。なんか。
………玲央がここに居ないのに、なんか。
――――……よく、オレを見つめる時に、すっごく優しい瞳をする玲央が、何だか、脳裏に浮かんでしまって。
赤面しそう……。
まさか、オレ、ハムスターのスタンプ送った位で、
こんな恥ずかしい事になるとは。思わなかった……。
玲央の目に、オレって、どう映ってるんだろう。
こんな丸っこい、可愛い、モフモフの生き物に、似てるとか。
本気なのかな?
1回言って、冗談って否定して、でも似てるのはほんと、って。
……それは本気なんだろうか。
しばらく悩んだ後。
「オレがハムスター似だったら、玲央は何に似てる?」
聞いてみることにした。
そしたらしばらく返ってこない。
何にも似てないって思ってるのかな?
………なんだろ。玲央は……。
ライオン……? チーターとか。トラとか……?
あ、ホワイトタイガーとかいうのも居たなあ。あれ、カッコいいなあ。
とか、色々思ってたら。
また震えて。そしたら、玲央じゃなくて、勇紀からだった。
あれ?と思って開くと。
『玲央は、発情期の肉食獣って事で、周り一致したから』
「っ」
見た瞬間、吹き出しそうになっちゃった。
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