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第414話◇

   何でこのメッセージ、勇紀からきたんだろ。  あ、そっか。玲央がきっと、動物の何に似てるか聞いたんだろうなあ。オレに聞かれた事も言ったのかな。  それで、周りが一致したけど、玲央がオレに送らないから、勇紀が送って来た……てこと、かな。  ていうか、発情期って、何……。  それは考えてなかったけど――――……。  肉食獣っていうのは、オレがさっき考えてたのと、一致してるなあ。  カッコイイもんね、やっぱり。  ――――……ふふ。なんか、玲央きっと、今頃すっごい嫌そうな顔してるんだろうなあ……。 ほんと、面白い。 「何か面白い連絡?」  ずっと黙ってスマホと向かい合ってたオレを見て、隣の友達が言ってきた。 「え?」 「笑ってるし」  そう言われて。あ、オレ、笑っちゃってたんだ、と苦笑い。 「うん。ちょっと、面白い連絡だった」 「ふーん?」  クスクス笑われる。  ちょうどその時教授が入ってきて、オレは、スマホをポケットにしまった。  教授の挨拶と少し雑談。  何となく聞きながら、ふっと考える。  ――――……さっき、ここの教室に入って来た時。  思い出したのは、先週のこと。  本気になったら終わりだと思ってたオレが、玲央に好きって言えなくて、嫌いじゃないと伝えたら、玲央を怒らせて。  オレは、泣いた後でここに来て。2時間授業を受けて。  終わっても動けなくて、机で突っ伏していたら。  玲央が、迎えに、来てくれて。  好きって言っても良いって、言ってくれた。  ――――……あれから、1週間かあ……。  なんかもう、関係が、変わりすぎて。   不思議すぎる。  ぶ、とポケットでスマホが震えたので、机の下で見ると。 『勇紀の、聞かなくていいからな? あとでな、優月』  と玲央から入ってきていた。  ふ、と笑ってしまう。  ――――……楽しいな。  思い起こすだけで、好き、だなって思う。  スマホを向かって前を向きながらも、微笑んでしまった。   ◇ ◇ ◇ ◇  間に休憩を挟んで、4限5限と終わった。  荷物を片付け終えてる皆に、「オレ約束があるから」と別れを告げた。  メッセージを送ってから行こうと思って「今終わったから、すぐ行くね」と玲央にあてて送信。スマホを見ながら立ち上がった時。すぐ近くで、「優月」と呼ばれた。  え、とそっちを見ると、玲央が立っていて。 「玲央、どうしたの?」  ……会えて、嬉しい。  今から部室行けば会えたけど。全然思ってもない所で急に会えて。  しかもここに居るって事は、オレを迎えに来てくれたから居るって事だから、それも嬉しい。  そんな事を思いながら玲央を見上げたら。  玲央が、ふ、と目を細めて笑った。 「先週、ここに迎えに来ただろ? なんかさっき思い出して」 「――――……」 「何となく、もっかい迎えに来た」  ――――……何か、すごくすごく、嬉しい。   「オレもさっき思い出してた」 「……そっか」  優しく笑う玲央の隣に並ぶと。  玲央は、周りをちょっと見てから。オレを、皆が教室を出るために並んでいる方から見えないように隠してから。  ちゅ、とキスしてきた。 「――――……玲央……」  クスクス笑ってしまうと、頬をすり、と撫でてから、頭を撫でられる。 「いこうぜ。テンション高い奴らが待ってるから」 「あ、うん」  嫌そうに笑う玲央に、可笑しくなってしまいながら。  一緒に教室を出た。

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