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第418話◇
カラオケについて、パーティールームに案内されて、靴を脱いで入った。
テーブルの周りを囲むようにソファが置いてある。
荷物を部屋の隅に置いて、皆が適当に座ろうとしてる時、玲央がオレの腕を引いたので、隣に腰かけた。
「ああーまた優月を隣に……」
勇紀が騒いでるけど、「これ、当たり前だから」と玲央が一蹴してる。
玲央の隣に稔と、智也。オレの隣に勇紀、甲斐、颯也。何となく四角く囲むように座ってから、タッチパネルで飲み物を先に注文した。
「食べ物は適当にたのむねー」
勇紀がそう言うと皆が頷いて。「優月、どれがいい?」とオレの方にタッチパネルを持ってくる。
「適当に色々……」
そう言いながら、2人で、あれこれ注文している間に、智也が甲斐達に話しかけられて、会話をし始めた。間に稔が入って紹介しながら。
智也は、ほんと、誰でも話せるもんなあ。
お兄ちゃんみたいだから、後輩とかにもすごい慕われてたし。
優しいもんな。うん。
なんて思いながら、勇紀と注文を終えた頃には。
颯也と甲斐が、もうすっかり智也と普通に話をしている。
「もう、皆、下の名前で呼んじゃお。玲央も、村澤じゃなくて、智也ね」
勇紀がそんな風に言うと、オレの隣の玲央は、じゃあオレも玲央でいい、と智也に言ってる。
智也はちょっと苦笑いだけど、別に否定もしないで、頷いてる。
こういう場に、稔みたいなのと、勇紀みたいなのが居ると。
なんかすっごく仲良くなれる気がする……。無理やり感も吹き飛ばして。
玲央はそういうの自分からいくタイプじゃないだろうし、だからこういう2人が玲央の側に居たっていうのもの、きっと、良かったんだろうなぁと見てると思う。
飲み物が届いて、皆の手元に行き渡ると。
「じゃあ――――……もう乾杯することは、1個しかないよね」
勇紀がめっちゃ楽しそうに言って。
甲斐が、早く言えよ、と笑う。
なんだろう、乾杯すること、1個って。
そう思いながら、グラスを持ったまま、勇紀の次の言葉を待っていると。
「玲央と優月、おめでと~」
言われて、え、と勇紀を見てしまう。
――――……あ、それなんだ、1個しかないって。
すぐに玲央の方を向いて、見上げると、玲央はその大騒ぎな感じに苦笑いしてて。
「はい、かんぱーーい!」
皆がめっちゃワーワー言い出して。「ほんとは酒がいいー」とか騒いでる。
玲央がオレにグラスを差し出してくるので、かち、と合わせた。
「おめでとうだって」
「ああ」
「……嬉しいね?」
こそ、と言うと。玲央はオレをマジマジ見て。
「――――……お前、ほんと純粋。 今から何聞かれるんだと、オレはうんざりしてた」
そんな風に、言いながら、玲央はすごい苦笑い。
「玲央……」
玲央のセリフに笑っちゃうけど。
だけど絶対、嬉しそうなのに。
……素直じゃないなぁ、玲央。
オレがクスクス笑うと、玲央もふ、と笑んで、オレをヨシヨシ撫でて。
そしたら早速「初めからいちゃつくなー」と稔に突っ込まれて。
あー、うるせー……玲央が呟いてるので、また笑ってしまう。
◇ ◇ ◇ ◇
(2022/3/8)
エブリさんで初投稿したのが去年のこの日。
実は丸1周年なのです(*´ω`)
ちょうどカンパイの話でした♡
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