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第420話◇

 色々皆が好きに話してる中、稔に「優月」と改めて呼ばれた。  オレが稔に視線を向けると。 「優月に聞きたいんだけど」 「うん?」 「玲央のどこが好きですか? 3つ答えてください」 「3つ?」  稔の質問に、すごく迷う。  3つって、何だろう。  3つ……。  隣の玲央を見つめながら、しばらく考えてると。  勇紀がぷ、と笑った。 「その質問、オレが先週優月にしたよなー。オレはどこが好きなの?って聞いたんだけど」 「うん」 「そん時は結構即答だったのに」 「だって、3つって……」  好きとこ上から3つでしょ。うーん。 「稔の質問が悪いんだよ」  と勇紀が笑うと、甲斐と颯也も笑い出したので、稔は、お前らもその答え聞いた?と2人に聞いてる。 「聞いた聞いた」 「そん時は確かにすぐ答えてた」 「じゃあそん時優月、何て答えたの?」  稔が不思議そうな顔で、オレを見てくるので。 「……オレ、全部って、言ったよね?」  勇紀にそう聞くと、勇紀はぷ、と笑って、頷く。 「そう、全部って言われた」  稔は、「はー?」と、眉を寄せる。 「ちょっと待てよ、優月、さすがに全部じゃないだろ」 「――――……」  えー、でも、なあ……。  全部、なんだけどな。困ったな……。  隣で面白そうな顔をしてオレを見てる玲央と目が合って、なんか嬉しいので、にこ、と自然と笑顔になる。 「分かった! じゃあ、こっちの質問にする」 「うん?」 「玲央の嫌いなとこ、どこ?」  ていうか、それこそ、何も浮かばないんだけど。どーしたら。 「あるでしょ、遊んでた過去の事とか。 えらそーなとことか、服装が柄悪いとことか、冷たそうとか、超カッコつけてるとか」  完全悪口みたいになってるけど、と、苦笑いが浮かんでしまう。 「お前、喧嘩売ってンの?」 「いやいや、でもあるでしょ、優月」  玲央が凄んでるけど、稔は気にせず続ける。ちょっと遠くて届かないと思ってるんだろうなー絶対。 「え。でも……カッコいいし。優しいし。冷たくないし……過去の事は別に、そんなに気にならないし……」 「嘘でしょ、優月―」 「お前、諦めろ……」  わあわあ騒いでる稔に、甲斐が笑って、その肩をポンポンと叩きながら、座らせた。 「優月の方はもう、アレ本気だから、無駄だと思うぞ」 「はー? そんな奴居るー? 玲央の過去も気にならないとかー?」  稔はそう言うと、隣の智也をじっと見やる。 「どーなってんの、優月って」 「どーなってんのって……」  智也はクっと笑い出して、稔を見てから、ちら、とオレに視線を投げてきた。 「多分本気で気になってないんだと思うよ」  クスクス笑いながら智也が言う。

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