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第421話◇

「えー、じゃあさ、優月」 「つかもうお前だまってろ」  玲央が突っ込んでるけど、さすがの稔はめげずに。 「もし明日、玲央が浮気したらどーすんの? 許す? 別れる?」 「――――……浮気……」  呟きながら、んー、と玲央を見つめると、玲央は苦笑い。 「しないけどな」 「もししたらの話、優月」   玲央と稔の言葉に、うううーん、と考えて。  浮気したら。  ――――……浮気かー……。 「玲央がオレと別れたいなら、考える……」 「別れたくないって玲央が言ったら?」 「……え。だって、オレ、できたら玲央と別れたくないし……じゃあ、浮気しないでもらえるように頑張る……?」  そう言ったら、稔がきっとオレを鋭く見つめて。  「ダメだぞ優月―! それって、浮気男を益々つけあがらさせる考え方だぞー」  何だかものすごい勢いで、反対されて。  もう何だか、可笑しくてしょうがない。 「分かんないよ。されたら考えるよ。もし繰り返されるなら諦めるし」 「だから、しないっつの」  むぎゅ、と玲央の片腕に抱き締められてしまった。  そのまま、よしよしされたまま、稔から見えないように隠されて。 「お前、マジで余計な事言うな。つーか、もー聞くならオレに聞け」  玲央がオレを抱き締めたまま、そんな風に言ってる。  あんなに何か聞かれるの、嫌がってたのに。  ていうか、別にオレ、平気なんだけどな。   ――――……玲央、優しい。  ふふ、と笑ってしまう。 「え、玲央に聞いていいの?」 「マジで?」  勇紀や甲斐まで玲央の言葉に反応する。 「でもさー、玲央も優月の好きなとこ聞いたら、全部とか言おうとしたかんね。聞いてもノロケが返ってくるだけなんだよなー……」  あーやだやだ、と勇紀が言うと。 「はー? 全部ー?? マジで言おうとしたの?」 「……まあ。言おうとしたな」  オレを小脇に抱えるみたいにしたままで、玲央が頷くと。 「はあああ?? マジ意味がわかりません」  稔の言葉に、颯也も「まあ確かに今までの玲央なら分かんねえんだけど」と苦笑い。 「じゃあ、優月の何が好きなの。言えよ、好きなとこ」 「――――……好きなとこ」  玲央が、ふと、オレを見下ろして。目が合うと、じー、と見つめられる。 「……優月の瞳」 「め??」  一旦稔を見て言った後、玲央がオレに視線を戻して、また目が合うと、ふ、と柔らかく笑う。 「言いたいこと全部訴えてくんの、すげー可愛いから」 「……っ」  ボッと、火が付いたみたいにオレ、赤くなったと思う。  だって、顔、すごいあっつい。 「――――……」  しーん。と。  部屋が静まり返って。  オレは、玲央をただ見つめ返すしかできなくて。  玲央は、なんかマズイか?とでも言いたそうに、稔に視線を向けて。  しばらく、玲央と稔が、見つめ合って。 「……つかもう――――…… なんかもう。……お前、ほんと誰だよ??」  稔がはーーーー、とため息と共に言うと、皆が笑い出して。  もうほんと諦めろ、とか。そう言う事を稔に向けて言い始める。 「玲央って、オレの瞳が好きなの?」 「――――……」  皆が騒がしい中、そう聞いたら。 「別に。目が合うといつもすげぇ可愛いから、今一番に言っただけ。嫌いなとこねーし。全部好きだと思ってるけど?」  と、もっと恥ずかしい答えが返ってきて。  また改めて赤くなってると、察知した稔が。 「またお前、恥ずかしいセリフ吐いたろ!!!」 「吐いてねーし」  玲央はそう言い返してたけど。  稔は鋭いなー。  ……なんて、密かに思った。    

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