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第428話◇
ちゅ、とキスしたら。
玲央が黙って、オレを見つめて。頬から滑った手が耳の下、首に触れて。
そのまま玲央に引き寄せられて。
「……ん」
優しく、キスされる。
何度も、重なっては離れて。
見つめ合ったまま、とか。
ドキドキしすぎて。もう。死にそう。
「……っ」
めちゃくちゃにキス、されて。
何も分からなくなった方が、楽なんだけど……。
ドキドキが、すごすぎて、絶対聞こえてると……。
ぎゅ、と瞳を閉じてしまった瞬間。
「――――……」
玲央が、笑った気がして。また瞳を開けて、玲央を見上げた。
「ちょっと静かにしてて」
囁かれて。ぐい、と頭を引き寄せられて、玲央の胸に抱き寄せられ。
「……?」
そのまま、じっとしてたら。
少しして、玲央が何がしたいのか、分かった。
「玲央、ドキドキ、してる?」
「――――……すげえ、ドキドキしてる」
そのまま、ぎゅー、と抱き締められて。密着して。
ああ、なんか。ドキドキがもうどっちのか分かんない。
玲央が、オレにドキドキするのって。何回聞いても、不思議。
でも、ドキドキするのって、嘘つけないから。
――――……好きって思ってくれてるのが、実感できて、嬉しい。
「……優月」
「ん」
「………すげー好き」
「――――……」
もうホワホワしすぎて、浮くんじゃないかと、思ってしまう。
「オレも。大好きだよ、玲央……」
ぎゅー、と抱き付いてそう言うと。
「……優月は何話してた?」
「……んと……? 美咲とご飯行こうて話とか……」
「ん」
「あとは……玲央が、浮気したら、とか?」
「――――……稔の話の続きか?」
苦笑いで玲央が聞いてくる。
「うん、そう」
すっぽり玲央の腕の中に納まったまま。玲央を見上げると、まっすぐ見つめ返された。
「どーすんの、オレが浮気したら」
「……聞きたい?」
「――――……」
少しの間、んー、と考えてから。
玲央は、いいや、と首を振った。
「しないから」
ちゅ、とキスされる。
「……2週間位しか居ないけどさ」
「――――……」
「20年近く生きてきて、初めてこんなに好きだと思ってるから。そんな簡単に他の奴に行かねーよ」
「……ん」
「――――……? 優月?」
そっと手を伸ばして、玲央の両頬を包む。
「――――……オレね、今、好きだし。 明日も好きだと思うし……」
「――――……」
「……このままなら、ずっと毎日、好きだと思う」
ぷに、と玲央の頬を摘まむ。
ちょっと可愛い顔になる。ふ、と笑みが浮かんでしまう。
「……あのね? 玲央」
「ん?」
「……引っ越すのは親にも話さないとだけど…… 玲央の家で過ごせるように、荷物ある程度、運んでもいい?」
「――――……」
玲央は、じっと、オレを見つめてから。
「当たり前。いつ運ぶ? 明日?」
……明日って。
くす、と笑ってしまう。
「週末かなと思ってたんだけど……いつでも」
「じゃ明日」
ふ、と笑う玲央に、またまた、ぎゅーーー、と抱き締められて。
笑んでしまいながら。玲央の背中に手を回して、抱き付いた。
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