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第433話◇
特に稔や勇紀は、話は尽きない感じだったけれど、さすがに遅くなったしと、皆でカラオケを後にして。
店の前で、じゃあなー、と口々に言う。
「優月、さっきも言ったけど、嫌な時は断れよー」
稔と勇紀が笑いながら優月に言って。優月は、あはは、と笑って済ませている。
駅に向かう皆と別れて、2人になって、ふと見つめ合う。
「――――……楽しかった?」
くす、と笑いながら優月に聞くと。
「うん」
にっこり笑う、優月。
「玲央は? 楽しかった?」
「――――……やかましかった」
優月は苦笑しながらも、楽しそうにオレを見つめてる。
「――――……帰ろ、優月」
「うん」
2人でマンションに向かって歩き出す。
駅前から離れて人気がなくなってきた所で、優月と手を繋ぐと。
ふ、とオレを見上げて。にこ、と笑んだ。
「稔と勇紀、仲いいね」
「うるさいだろ」
「あはは。勢いがすごい」
「いいぞ、うるさいって言って」
「玲央の事が大好きだから、あんなに楽しそうなんだと思う」
なんだかあまりに毒気を抜かれるので、一瞬、返事に困る。
「……稔のは、たまにただの悪口だけどな」
そうかも、だけどね。と優月が笑ってる。
「玲央が一番仲の良いのは、やっぱり今日のメンバー?」
「そうだな。……まあ、昔から知ってる奴らが多いから、話す奴は多いけど。ものすごく絡むのはあいつらだな」
そっか、と優月が頷いてる。
「幼稚園からエスカレーターとか、すごい。ちょっと不思議。ずっと同じメンバーなんでしょ?」
「まあ、たまに外に出る奴もいるし、入ってくる奴もいるから。中学、高校のタイミングで」
「でも、ほとんど仲良い人は一緒?」
「まあでもクラスが変われば、変わってた。だからそこそこ仲良い奴、他にもいろいろ居るけど。……勇紀達は、クラスが変わっても、なんとなくずっと絡んでた、かな」
「幼稚園から、3、6、3、3……15年間一緒?」
「17年めか? そう考えると、すごいな」
「17年も一緒の人達がいっぱいいるって、すごいね」
優月がクスクス笑う。
「エスカレーターじゃないと、大体の人は中学までで別れるから、9年、かな。小学校から中学に上がる時も、学区で結構別れたよ」
優月はそう言って、ふ、とオレを見上げた。
「なんか。小さい頃の玲央とか、知ってるの、良いなぁ」
「――――……知りたいか?」
「知りたい。絶対可愛かったと思う」
「――――……」
……可愛くはなかったような。
自分で言うのも何だが、生意気なクソガキだったような。
と思うのだけど。
何だか優月がキラキラした瞳で見つめてくるので、あんまり否定するのもと思って、苦笑してしまう。
「優月は、すげえ可愛かっただろうな」
優月みたいなのが、小さくて、ほわほわ動いてたら、それは相当可愛いだろうと、思ってしまう。
「オレ、早生まれなのもあって、友達よりだいぶちっちゃかったみたい」
――――……なんかますます可愛いな。
「だからちょっと、元気な男の子とかにはちょっかいだされてたりしてたみたいだけど……智也とか美咲が、なんかすごーく世話してくれてたみたい。あんまり細かい事ははっきりは覚えてないんだけど、なんか頼ってた記憶は、あるんだよねー」
――――……ちょっかい。
きっと可愛すぎて、つついてたんじゃないかなと。
なんかオレの思考がいまいち、ちょっと可笑しいが。
でも小さい頃の優月は絶対に可愛かったに違いない。なんて。思う。
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