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第438話◇

【side*優月】 「――――……」  キスしてる時。  玲央が瞳を伏せてる所を、そっと、見つめてるのが好きだったりする。  瞳伏せてるのが、なんか。カッコよくて。  でも見てると、その内バレる。    何でだろう。  視線を、感じるのかな? それとも、オレが、玲央の事見る方に必死で、ちゃんとキス、できてないのかなあ? ……もともと別にそこまでちゃんと出来てないかもしれないから、同じ気もするんだけど。  でも、いつも、見て、そんなに経たない内に、バレるみたいで。  ふっと玲央が瞳を開けて、オレと視線が絡んで。  そうすると。  また、見てる、みたいな感じで、優しく、瞳を緩める。    目が合うとそうなるって、分かってるのに、毎回どきん、と心臓が音を立てて。結局また、目をつむる事になる。  たくさん、キスされて、ゆっくり離されて。  もう今は、これで終わりかな?と思って、ぼんやりと玲央を見上げた。    で、息ができるかって話になって。なんか色々話してたら。   「何でお前は、そんな、可愛いの」なんて、言われて。  恥ずかしいなと思ってたら。  さっきよりも、玲央に抱き込まれて、もっと、激しいキスになってしまった。 「――――……ん、ん、…… っふ……」  ……ついて、けない。  玲央が本気……なのか分かんないけど、優しいキスじゃなくて、玲央の思う感じで、キスし始めると、全然、ついてけなくなる。  息は吸わせてくれる、ような気がするけど。  舌、が。  自分のじゃないみたいな気がしてきて。 「――――……っ」  普段、何気なく、動かしてる舌が、玲央のに触れてるだけなのに。  背筋に、ゾクゾクが上がってきて。 「……んっ……ぁ、――――……ん、う……」  声、出ないようにとか、言ってられなくて。  息をする間に、また塞がれるから、勝手に漏れて。   「……っは…… れ、お――――……」  キスを離されて、呼ぼうと思ってた声が零れると。  くす、と笑われて、両手で頬を挟まれて、じっと、見つめられる。 「――――……かわい……」  顎を上げさせられて、その首筋に玲央が顔を埋めてきて。ぞく、と震えると。少しシャツの奥。肩の辺りに、吸い付かれた。 「ん、ンっ……」  もう――――……むり、なんだけど……。  今、どこ、触られても、もう。 「――――……もっと、気持ちよくしてほしい?」  ――――……やらしい表情で言われて。  ああ、もうなんか、すでに体熱くて困る。と、涙目で見上げると。 「――――……つか、もう、反応してる?」 「……っ」  玲央の手が、前に触れて。ふ、と笑むけど。  ……ていうか、これ、オレのせいじゃない、もん。 「――――……風呂でする? それとも、ここでする?」 「…………お、ふろ……」  もうすることが決定なら、お風呂が良い。 「いーよ。おいで」  靴、脱がされて。またひょい、と抱えられて。  もう一体、何回抱えられて、運ばれてるんだろと思いながら。  ぎゅ、と腕を回すと。クスクス笑う玲央に、むぎゅ、と抱き締められて、胸が弾みっぱなしで。 「――――……玲央……」  バスルームで降ろされて。 「脱がせてやるから、待ってて」  なんて言われて。  玲央が目の前でどんどん脱いでくのを見守るという。  よく分からない、時間。  心臓、また、音、激しすぎて。   オレ、ほんとに、いつまでたっても。慣れないなあ……と、すごく、思った。

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