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第441話◇
【side*玲央】
抱き締めている優月が、サラサラ肌触りが良くて、気持ちいい。
まだすーすー眠ってる。
――――……優月と会うまで通ってた店にも全然行かなくなって。
深夜を回って遊び歩くことも無くて。
誰か知らない奴を抱くこともない。
こないだ断ってから、誘われる事も無い。
まあそれだけはっきり、もう無いと断ったし。
一緒に買い物に行って、一緒にごはんを作って。食べて、並んで洗って、片づけて。毎日一緒にシャワーを浴びて、デートしたりして。
――――……で、毎日、同じ奴を抱き締めて眠るって。
……変わりすぎにも程があるな。
稔や勇紀が特に騒いでるし、甲斐や颯也もそう思ってるんだろうけど。
あいつらは、オレが一人でしてた事を全部知ってる訳じゃない。
オレが今まで一人でやってた事。それがもう、ことごとく変わってるって事迄は知らない。
だから、あいつらが言ってる変わった事、なんて、ほんの一部で。
「――――……ん……」
もぞ、と優月が動く。
でも、まだ寝ぼけてるみたいで、「……れお……」呼びながら、オレのウエストに腕を回して。すり寄ってからまた眠った。
「――――……」
一番変わったのは、行動じゃなくて、気持ちだ。
一人で寝た方が当然寝やすいし、安らかだと思っていたのに。
こんな風にくっつかれて。愛しくてたまらない、とか。
抱き締めて眠ると、安心するとか。
なんか、愛おしいって気持ちが、ものすごく、沸き起こるとか。
目で見えない部分の方が、絶対変わってるんだよな……。
優月を抱き締め直して、腕枕。
髪の毛を撫でながら、抱き寄せる。
サラサラの髪の毛が顎に触れる。
スヤスヤ、寝息。
んー……。
――――……まあ。ほんと。……愛しい、んだよな。
可愛くてたまんなくて。
めちゃくちゃ抱き締めたいと思うけど。
こんなスヤスヤ可愛く寝てるなら、ずーっと起きるまで待っててやりたいとも思うし。
「……ん……」
オレが動くと、反応して、ぴく、と動くけど。オレに触れてると安心するのか、起きはしないで、また寝息を立てる。いつもそう。
――――……そういや、優月って。
抱くほどに、エロくなってく。
素直だからかな。反応も素直だし、感じる快感にも素直で。
――――……真っ赤になって、涙目になってるとこなんて、もう、ますます泣かせたいし。……でもぐちゃぐちゃになるまで、可愛がりたい気もして。
どっちで抱こうか、いつも迷う。
……イったから待って、とか。あんなに可愛く言われて。
待つわけないし。……ほんとに。
あーだめだ。
また泣かせたくなってきた……。
その内、嫌われたりして。意地悪だからとか。
――――……恥ずかしいからもう嫌だとか。
うーん……。
と考えていたら。
「――――……」
腕の中から、じーーーーと、オレを見上げてる優月と、突然目が合った。
「……あれ? 優月?」
「…………ん? 朝……??」
「まだ、寝てていいよ……」
「……うん……」
言いながら、ハワハワあくび。
「……なあ、お前さ、オレに抱かれるのって、どう思ってる?」
ねぼけた感じの優月。
素直に言うかなと思って聞いてみたら。
「んんー……??? んーと……」
「――――……」
「……玲央が、色っぽくて、カッコいい」
「――――……」
「……だから、好き」
もぞもぞくっついてきて、また目を閉じてる。
なんか。
――――……はー、と息を吐く。
思ってたのと全然違う回答だったけど。 すげー、可愛いし。
よしよし、と撫でて抱き寄せると。
優月が腕の中で、ん、と声を出して。 ふふ、と笑って。
また静かに、眠りだした。
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